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上智大学 法学部 国際関係法学科 帰国生入試 2021年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

小論文過去問です。

【設問文全文】

問い 下線部の言う「底辺への競争」とは、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか。文中にある「社会給付の引き下げと社会規制の廃止の圧力」をヒントに、給付国家への影響、及び、規制国家への影響の観点から、800字以内でまとめてください。

問1【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で底辺への競争を定義し、STEP2とSTEP3で給付国家への影響、STEP4で規制国家への影響、STEP5で国際協調の必要性をまとめます。

問1【解答例:5STEPs段落構成】(727字)

STEP1

 「底辺への競争」とは、グローバル化のもとで各国が企業や資本を自国に引きとめるため、社会保障や労働規制を互いに切り下げていく競争を指す。企業は税負担や規制の低い国へ移動できるため、国家は資本に不利な政策を取りにくくなる。

STEP2

 給付国家への影響としては、失業給付、生活保護、医療、年金などの社会給付を維持しにくくなることが挙げられる。給付水準が高いと、税や社会保険料の負担が重くなり、企業の競争力を弱めると批判される。その結果、政府は給付削減や受給要件の厳格化へ向かいやすい。

STEP3

 このとき、貧困や失業のリスクは社会全体で分担されるのではなく、個人や家族に押し戻される。さらに、給付を受ける人への監視や自己責任論が強まれば、福祉は権利ではなく例外的救済として扱われる。これは福祉国家の基盤を弱める変化である。

STEP4

 規制国家への影響としては、最低賃金、労働時間規制、解雇規制、安全基準、環境規制などが緩和される圧力が強まる。企業にとって規制は費用であるため、規制の厳しい国は投資先として不利だとされる。各国が規制を緩め合えば、労働者の賃金や安全、生活環境が下方へそろっていく。

STEP5

 したがって底辺への競争は、給付と規制によって市場の不平等を修正してきた福祉国家の二つの機能を同時に弱める。一国だけで高い基準を守ることは難しいため、国際的な最低労働基準、課税協力、社会保障の共通ルールを整え、労働者や生活困窮者を国際競争の調整弁にしないことが必要である。企業活動の自由を認めつつも、人間らしい生活を守る基準を国境を越えて共有することが重要である。国内の福祉政策を守るには、国際経済のルール自体を公正にする視点が欠かせない。競争力と福祉を対立させず、共通基準で両立させる発想が求められる。

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