【問題概要】
上智大学 神学部 神学科 編入学試験 2021年度の小論文過去問です。
【設問文全文】
以下の文章を読み、問いに答えて論述してください。
文中の下線部(1)、(2)、(3)を具体的に説明しつつ、現代世界の困難な状況において、キリスト教的「希望」とは何かについて、論述してください。
課題文は、ベネディクト十六世『希望による救い』をもとに、キリストとの交わりが人を「すべての人のための存在」へと引き寄せること、また他者への責任ある態度を扱っている。
問題【解説】
設問条件の判定
字数指定は読めないものの、本格的な論述問題であり、下線部説明と自分の論述が必要なため5STEPs法で構成します。
5STEPs法での書き方
STEP1で希望を定義し、STEP2〜4で下線部(1)〜(3)を説明し、STEP5で結論を述べます。
問題【解答例:5STEPs段落構成】(699字)
STEP1
キリスト教的希望とは、困難がなくなるという楽観ではなく、苦しみの中でも他者のために生きる力を失わないことである。課題文が述べるように、キリストとの交わりは人を「すべての人のための存在」である方へ引き寄せる。希望は個人の安心だけで完結せず、他者への責任として表れる。
STEP2
下線部(1)が示すのは、人間が自分に与えられた愛だけで人生の問題を解決できないという事実である。人は自分の力や周囲の愛だけでは、死、罪、孤独、不正を完全には乗り越えられない。だからこそ、神から来る愛と希望が必要になる。これは現実逃避ではなく、人間の限界を認めるところから始まる信仰である。
STEP3
下線部(2)の「すべての人のための存在」とは、キリストが自分のためではなく他者の救いのために生きたことを指す。キリスト者もその交わりに入ることで、自己保存だけを目的とする生き方から離れ、他者の苦しみに関わる者へ変えられる。希望は、孤立した個人の内面ではなく、他者との関係の中で具体化される。
STEP4
下線部(3)は、その希望が責任ある態度として示されることを意味する。現代世界には、戦争、感染症、貧困、難民、環境破壊など、自分一人では解決できない困難がある。しかし、解決できないから無関心でよいのではない。祈り、支援、対話、弱い立場の人を守る行動を通じて、希望は社会的な形を取る。
STEP5
結論として、キリスト教的希望とは、未来が必ず都合よく進むという予測ではない。それは、神の愛に支えられて、困難の中でも他者のために責任を負う生き方である。希望を持つ人は、世界の苦しみを否定せず、そのただ中で小さな善を行う。現代世界に必要なのは、このような受動的でない希望である。



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