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上智大学 文学部 フランス文学科 帰国生入試 2020年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

上智大学 文学部 フランス文学科 帰国生入試 2020年度の小論文過去問です。

【設問文全文】

次の文章を読んで、下の問いに答えなさい。

Bateman Hunter slept badly. For a fortnight on the boat that brought him from Tahiti to San Francisco he had been thinking of the story he had to tell, and for three days on the train he had repeated to himself the words in which he meant to tell it. But in a few hours now he would be in Chicago, and doubts assailed him. His conscience, always very sensitive, was not at ease. [He was uncertain that he had done all that was possible, it was on his honor to do much more than the possible, and the thought was disturbing that, in a matter which so nearly touched his own interest, he had allowed his interest to prevail over his quixotry.] Self-sacrifice appealed so keenly to his imagination that the inability to exercise it gave him a sense of disillusion. He was like the philanthropist who with altruistic motives builds model dwellings for the poor and finds that he has made a lucrative investment.

(1) [ ]以外の全文を日本語に訳しなさい。ただし、出典は訳さなくてよい。

(2) 下線部のように考えることについて、600〜800字で、自分の考えを自由に述べなさい。日本語で論じること。

設問1【解説】

下線部を除く英文について、出来事の流れと比喩の意味が伝わるように訳します。

設問1【解答例】(285字)

 ベイトマン・ハンターはよく眠れなかった。タヒチからサンフランシスコへ彼を運んだ船の上で二週間、彼は自分が語らなければならない話について考え続け、列車の中の三日間、自分がそれを語るために使うつもりの言葉を何度も心の中で繰り返していた。しかし、もう数時間でシカゴに着くという時になって、疑いが彼を襲った。いつも非常に敏感な彼の良心は落ち着かなかった。自己犠牲は彼の想像力に強く訴えたので、それを実行できないことは彼に幻滅の感覚を与えた。彼は、利他的な動機から貧しい人々のために模範的な住宅を建て、その結果、自分が利益の出る投資をしてしまったことに気づく博愛家のようであった。

設問2【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で下線部の意味、STEP2で価値、STEP3で危険、STEP4で具体策、STEP5で結論を述べます。

設問2【解答例:5STEPs段落構成】(725字)

STEP1

 下線部の考えは、自分の利益が関わる場面で、人は道徳的理想を簡単には貫けないという不安を示している。彼は、可能なことをしただけでは足りず、名誉にかけて可能以上のことをすべきだったのではないかと考えている。この自責は、利害と倫理が衝突する時の人間の弱さを表している。

STEP2

 私は、このような考え方には重要な価値があると考える。人は自分に都合のよい判断を正当化しやすい。だからこそ、自分の利益が判断をゆがめていないかを疑う姿勢は必要である。特に他者の人生に影響を与える決定では、最低限の義務を果たしただけで満足してよいとは限らない。

STEP3

 ただし、可能以上の自己犠牲を常に求める考えは危険でもある。人間には能力、時間、責任の範囲がある。理想だけを追えば、現実にできる支援まで失われる。さらに、自己犠牲を美徳として強調しすぎると、他人にも同じ犠牲を要求し、かえって不寛容になることがある。

STEP4

 大切なのは、自己犠牲そのものではなく、利益相反を自覚したうえで公平に行動することだ。たとえば、職場や学校で自分の評価が関わる時、都合の悪い事実を隠したくなる。しかし、そこで第三者の意見を聞き、手続を透明にすれば、自分の利益だけが勝つことを防げる。倫理は感情的な美談ではなく、具体的な仕組みによって支えられる。

STEP5

 したがって、下線部のような自責は、人間が自分の利害から完全に自由ではないことを思い出させる点で有意義である。しかし、それを無限の自己犠牲に直結させるべきではない。人は自分を責めるだけではなく、利害を点検し、他者への影響を考え、必要なら判断を開かれた場に置くべきである。理想を持つことと現実に責任を果たすことを結びつける時、倫理的な行動は持続可能で、他者にも説明できるものになる。

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