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上智大学 外国語学部 ドイツ語学科 外国人入試 2020年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

上智大学 外国語学部 ドイツ語学科 外国人入試 2020年度の小論文過去問です。

【設問文全文】

読み書きが十分にできない成人が読み書きできるようにすることをめざす識字運動に関する文章を読んで、設問に答えなさい。解答は、「です・ます」調でなく「である」調を用いること。

設問1:筆者は、日本の識字運動の何が問題だと考えているか、200字以内で説明しなさい。

設問2:識字運動の問題について、筆者が述べる「同化主義」以外の対処の可能性はあるだろうか。根拠を明確にして自分の考えを述べなさい。小論文の分量は600字以内とする。

設問1【解説】

筆者の批判対象を、読み書き支援そのものではなく、標準的な日本語への一方的適応として整理します。

設問1【解答例】(181字)

 筆者は、日本の識字運動が、読み書きできない人を単に「標準的な日本語を読み書きできる人」へ近づける営みになりやすい点を問題視している。漢字や表記の複雑さを当然の前提とし、本人の生活経験や言語的背景を尊重せず、既存社会への適応だけを求めれば、学習は支援ではなく同化の圧力になる。さらに、社会の側の分かりにくさや排除の構造を十分に深く問わない点も重大な問題なのである。

設問2【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で立場、STEP2で生活課題、STEP3で背景尊重、STEP4で制度改善、STEP5で結論を述べます。

設問2【解答例:5STEPs段落構成】(557字)

STEP1

 同化主義以外の対処は可能である。識字運動を、標準的な日本語を一方的に教える場ではなく、生活に必要な表現を本人の経験から作る場として設計すればよい。問題は、支援が多数派の文化へ合わせることだけを目的化する点にある。

STEP2

 第一に、学習内容を生活課題に結びつける。役所の書類、病院での説明、学校からの通知、職場の連絡など、本人が実際に困る場面から始める。漢字の量より、必要な情報を読み取り、自分の意思を伝える力を優先する。

STEP3

 第二に、学習者の母語や方言、生活史を尊重する。読み書きが十分でないことは能力の欠如だけを意味しない。学ぶ機会がなかった、別の言語で生活してきたなど、社会的背景がある。支援者はその背景を聞き取り、劣った存在として扱ってはならない。

STEP4

 第三に、社会の側も変わる必要がある。行政文書をやさしい日本語にする、ふりがなを付ける、多言語対応を整える、音声や図を併用するなど、読み書きの負担を個人だけに負わせない制度が必要である。

STEP5

 したがって、識字運動は、標準語への一方的な同化ではなく、学習者が社会に参加する権利を広げる営みであるべきである。本人の言葉と経験を出発点にし、社会の情報提供も分かりやすく変えるなら、識字運動は対等な参加を支える実践になる。その時、学習者は合わせるだけの存在ではなく、社会を変える主体にもなる。

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