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上智大学 外国語学部 ロシア語学科 外国人入試 2019年度 小論文 過去問解説

【問題概要】

上智大学 外国語学部 ロシア語学科 外国人入試 2019年度の過去問です。短答を含む場合は、設問形式に合わせて解答例を分けています。

【設問文全文】

I:次の各事項ないし人名に関して、知るところを日本語で書いてください。(各問200字前後)

(a) 動乱時代(スムータ)

(b) ブレスト=リトフスク条約

(c) ソルジェニーツィン

(d) 独立国家共同体

II:あなたの母語と日本語を比較した場合、もっとも大きな相違点はどこにあると思いますか。あなたの考えを書いてください。(600字から800字くらい)

I【解説】

各事項は、時代背景、中心的内容、歴史的意味の順にまとめると200字前後に収まります。

I(a)【解答例】(187字)

 動乱時代とは、十六世紀末から十七世紀初頭にかけてロシアで起きた政治的混乱期である。リューリク朝断絶後、皇位継承をめぐる争い、偽ドミトリーの出現、ポーランド・リトアニアの干渉、飢饉や反乱が重なった。国家権力は弱まり、貴族や民衆も各勢力に分裂した。教会や地方勢力の動向も政治を左右した。最終的に一六一三年、ミハイル・ロマノフがツァーリに選ばれ、ロマノフ朝が始まることで収束した。

I(b)【解答例】(186字)

 ブレスト=リトフスク条約は、一九一八年にロシアのボリシェヴィキ政権がドイツなど同盟国側と結んだ講和条約である。第一次世界大戦から離脱するため、ロシアはウクライナ、バルト地域など広大な領土と資源を失った。国内では屈辱的講和として批判され、左翼勢力からも反発を受けたが、革命政権は内戦に集中し、休戦によって政権を守るため和平を優先した。この選択は革命直後の外交方針を象徴した。

I(c)【解答例】(188字)

 ソルジェニーツィンは、ソ連の強制収容所や全体主義を批判した作家である。代表作に『イワン・デニーソヴィチの一日』『収容所群島』がある。スターリン体制下の抑圧を文学で告発し、ノーベル文学賞を受けたが、ソ連から追放された。作品は体制批判文学の象徴となり、冷戦期の人権問題にも影響を与えた。検閲に抗した知識人としても知られ、のちに帰国してからは、ロシア社会や西欧文明への批評も行った。

I(d)【解答例】(189字)

 独立国家共同体は、一九九一年のソ連解体に伴い、旧ソ連諸国を中心に形成された緩やかな国家連合である。ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどが創設に関わり、経済、軍事、外交面で一定の協力を図った。ただし、統合の度合いは弱く、加盟国の主権を前提とした協議体に近い。共通通貨や統一政府はなく、ロシアの影響力をめぐる警戒も強かった。利害対立や離脱もあり、ソ連に代わる強い連邦国家ではなかった。

II【解説】

5STEPs法での書き方

STEP1で相違点を明示し、STEP2で敬語、STEP3で主語省略、STEP4でコミュニケーション観、STEP5で学習上の結論を述べます。

II【解答例:5STEPs段落構成】(719字)

STEP1

 私の母語と日本語を比較した場合、もっとも大きな相違点は、文法上の構造だけでなく、相手との関係を言語形式に細かく反映させる点にある。日本語では、同じ内容を伝える場合でも、相手との距離、場面の改まり方、自分の立場によって語尾や語彙を変える必要がある。

STEP2

 たとえば、日本語には尊敬語、謙譲語、丁寧語があり、話し手、聞き手、話題の人物の関係を考えながら表現を選ぶ。母語では、敬意を示す表現はあっても、日本語ほど体系的に文全体を組み替えることは少ない。そのため、日本語では文法知識だけでなく、社会的状況を読む力が不可欠になる。

STEP3

 また、日本語は主語を省略しても意味が通じることが多い。文脈や相手との共有知識に依存するため、直接言わないことを理解する力が求められる。母語では主語や論理関係を明示する傾向が強く、誰が何をしたのかを文の中で示すことが自然である。この違いは、誤解の原因にもなる。

STEP4

 この相違点は、単なる言葉の違いではなく、コミュニケーション観の違いでもある。日本語では、相手に配慮し、言い切りを避け、場の調和を保つ表現が重視される。一方、母語では自分の意見を明確に示すことが誠実さと結びつく場合が多い。どちらが優れているという問題ではない。

STEP5

 したがって、日本語を学ぶには、単語や文法を覚えるだけでは不十分である。相手、場面、文脈を読み、どこまで明示し、どこを含みにするかを判断する必要がある。私は、この違いを理解することが、日本社会で学び、他者と協働する上で重要だと考える。母語の論理性を保ちながら、日本語の配慮表現を身につければ、異文化間の誤解を減らし、より深い対話が可能になる。言語の違いを障害ではなく、相手の社会を理解する入口として受け止めたい。

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