【問題概要】
上智大学 外国語学部 ロシア語学科 カトリック高等学校対象特別入試 2018年度の小論文です。
【設問文全文】
以下の文章はイギリスに留学した大学生(みゆき)が、授業中に人種主義体験を受けた例を報告したものです。文章を読んで、次のページの問題(1)(2)に答えなさい。
問題(1) 留学をする学生の中には文章中のみゆきのように、人種主義体験を受けたと報告する人もいて、そういった体験をする可能性がゼロでないことは留学先がロシア語圏であっても同じであるといえます。では、こうした人種主義や人種差別というものはなぜ起こるのでしょうか?あなたの考えを330-400字の範囲内で述べなさい。
問題(2) あなたが本文中の3人の外国人学生ではなく、白人イギリス人学生のひとりであると仮定してください。あなたは実は心の中で、他の白人イギリス人学生が外国人学生を無視する態度に嫌悪感を抱いていて、「何とかみゆきたちを助けてあげたい」と考えています。あなたはどういう態度をとるべきだと考えますか?あなたの考えを350-400字の範囲内で述べなさい。授業中だけに限定せず、授業外の時間のことも考慮に入れて、その対処法を考えて結構です。
問題(1)【解説】
人種主義の原因を、個人の悪意だけでなく、属性による決めつけ、多数派集団の同調、言語や文化の違いへの不安から説明します。課題文の「無視」や「取り残される」という状況を根拠にするとよいです。
問題(1)【解答例】(378字)
人種主義や人種差別は、相手を個人として見る前に、出身、肌の色、言語、文化などの属性でまとめて判断することから起こる。課題文では、みゆきやポーランド人留学生が授業の小グループで無視され、発言の機会から排除されている。これは単なる性格の不一致ではなく、多数派が自分たちの集団を守ろうとして、少数派を外側に置く行為である。さらに、言語能力や慣習の違いがあると、多数派は相手を理解する努力をせず、「自分たちとは違う人」として扱いやすくなる。差別は悪意だけでなく、無知、恐れ、同調圧力によっても生じる。周囲が笑ったり黙認したりすれば、排除は普通の態度として固定される。そこでは、された側の能力ではなく、する側の想像力の欠如が問題になる。留学先の国が変わっても、この構造は起こりうる。だからこそ、異なる背景の人を対等な参加者として認める教育と日常的な対話が必要である。
問題(2)【解説】
自分が多数派側にいる設定なので、傍観しないこと、本人の意思を尊重すること、教員や制度に働きかけることを具体的に書きます。
問題(2)【解答例】(373字)
私が白人イギリス人学生の一人なら、まず授業中にみゆきたちの発言を意識的に促す。小グループで誰かが無視されたときには、話題を戻して「今の意見をもう少し聞きたい」と言い、発言の場を作る。沈黙したままでは、差別に反対しているつもりでも、排除を支える側に回ってしまうからである。次に、授業外でみゆきたちに声をかけ、困っていることや望む対応を聞く。ただし、助ける側の自己満足にならないよう、本人の意思を尊重する。さらに、必要であれば教員やチューターに、特定の学生が発言機会から排除されている事実を伝え、グループ分けや授業運営の改善を求める。ほかの白人学生にも、無視は冗談ではなく学習機会を奪う行為だと伝えたい。一人で対立するのが難しければ、同じ考えの学生を探して複数で働きかける。差別に対しては、個人的な親切だけでなく、周囲の同調を変える行動が必要である。



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