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上智大学 総合人間科学部 学部学科試験・共通テスト併用方式 2024年 小論文過去問解説(ドキュメンタリーと介入)

上智大学 総合人間科学部 学部学科試験・共通テスト併用方式 2024年 小論文過去問解説(ドキュメンタリーと介入)

問1【解説】

設問文

問2 次の文章を読み、述べられている内容と関連するとあなたが考える任意の事例をあげて、1000字程度(横書き)であなたの考え(述べられている内容とその事例が関連するとあなたが考える理由を含む)を書きなさい。

設問条件の判定

  • 制限字数: 1000字程度
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 課題文の内容に関連する任意の事例を挙げ、その理由を含めて考えを述べる1000字程度の論述であるため。

解答プロセス

  • 議論の整理: 課題文は、ドキュメンタリーが対象をそのまま記録するだけでなく、制作者の介入によって反応を生み出すことを示している。
  • 問題発見: 記録と演出の境界が曖昧であり、介入が真実を豊かにする場合も、対象を操作する場合もある。
  • 論証: 言い分方式で、介入を許容する立場と警戒する立場を比較する。
  • 解決策・結論: 介入の有無を隠さず、対象者の尊厳と文脈を守ることが必要だと述べる。
  • 吟味: 完全な非介入は不可能だが、透明性と責任が不可欠である。

問1【解答】

課題文が示しているのは、ドキュメンタリーが現実をそのまま写すだけのものではないという問題である。ホスピスで暮らす女性にディレクターが故郷の手まりを持って行く場面では、手まりはもともとその場にあったものではない。制作者が持ち込んだものによって女性の表情や記憶が引き出され、それが番組の印象的な場面として成立している。

この内容と関連する事例として、災害被災地を扱うテレビ番組を挙げたい。取材者が被災者に昔の写真や家族の遺品を見せ、当時の記憶や感情を語ってもらう場面がある。これは、自然に起きた出来事をただ記録しているようでいて、実際には取材者の質問や提示物によって語りが生み出されている。したがって、課題文の手まりの場面と同じく、記録と演出の境界にある。

このような介入には意義がある。人は何もきっかけがなければ、大切な記憶を語れないことがある。写真や品物が媒介になることで、本人も忘れかけていた感情や経験が言葉になる。ドキュメンタリーは、単に現実を待つだけでなく、現実の深い層が現れる場を作る営みでもある。

しかし、介入には危険もある。制作者が感動的な場面を求めすぎると、対象者の反応を誘導し、悲しみや弱さを番組の素材として利用することになる。被災者や病者は、カメラの前で期待される役割を演じてしまうかもしれない。その場合、作品は真実を引き出すのではなく、都合のよい感情を作り出してしまう。

したがって、ドキュメンタリーに必要なのは、介入を完全になくすことではなく、介入の責任を自覚することである。何を持ち込み、どのような質問をし、その結果をどう編集したのかについて、制作者は透明でなければならない。また、対象者が後から傷つかないよう、同意と文脈を尊重する必要がある。

結論として、ドキュメンタリーの真実は、非介入の純粋さにあるのではなく、介入を含む関係の中でどれだけ誠実に現実を示せるかにある。制作者が対象者の尊厳を守りながら、隠れていた経験を見える形にする時、介入は単なる演出ではなく、現実を深く理解する手段になる。

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