鳥取大学 地域学部地域学科地域創造コース 前期日程 2017年度 小論文過去問解説(人口と地域社会)
問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 300字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 資料の二つのグラフから読み取れる人口動向を要約する資料読解問題であるため。
設問文
<資料1>の2つのグラフから読み取れる日本の人口動向の特徴を、出生率・出生数との関係も踏まえて300字以内でまとめなさい。
解答プロセス
グラフ1は、明治以降に総人口が急増し、2008年ごろをピークに減少へ転じ、将来は高齢化率が大きく上がる見通しを示している。グラフ2は、出生数が第一次ベビーブーム期から大きく減り、合計特殊出生率も低水準で推移していることを示す。答案では、総人口の反転、少子化、高齢化、出生率と出生数の関係を300字以内にまとめる。
問1【解答】
日本の総人口は、明治以降の工業化の時期に急増し、戦後も増加を続けたが、2008年ごろをピークに減少へ転じている。将来推計では人口減少がさらに進み、高齢化率も大きく上昇する。出生数を見ると、第一次ベビーブーム期には200万人を超えていたが、その後は長期的に減少している。合計特殊出生率も人口を維持する水準を下回り、近年わずかに回復しても出生数の減少は止まっていない。つまり、出産する世代の人口自体が減るため、出生率だけでなく出生数も低迷し、少子化と高齢化が同時に人口減少を加速させている。
字数カウント: 243字
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問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 700字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 「人口」という言葉の意味と日本の人口動向を踏まえ、今後の地域社会のあり方を構想する視点を論じる設問であり、500字以上の意見論述型であるため。
設問文
<資料1>および<資料2>を参考に、“人口”という言葉に含まれる意味や日本の人口動向を踏まえて、今後の地域社会のありかたを構想する際に必要となる視点について、あなたの考えを700字以内で述べなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
資料2は、「人口」が生身の人間を没個性的な数量として扱い、管理・運営の対象にしてしまう概念であると述べる。資料1は、日本が人口急減と高齢化に向かうことを示す。
設問要件対応: 「“人口”という言葉に含まれる意味」と「日本の人口動向」を踏まえる。
STEP2 問題発見
地域社会を総人口の増減だけで見ると、住民の生活、関係、移動、ケアの実態が見えなくなる。
設問要件対応: 「今後の地域社会のありかたを構想する際に必要となる視点」を設定する。
STEP3 論証
演繹法を用いる。地域社会は人間の生活を支える場である。したがって、人口を単なる労働力や消費者数として扱えば、必要な支援や自治の形を誤る。
設問要件対応: 人口概念への批判から地域構想の方向を導く。
STEP4 結論
必要なのは、数の拡大ではなく、年齢構成、暮らしの質、移動、福祉、参加、地域内外のつながりを組み合わせて考える視点である。
設問要件対応: 自分の考えを具体化する。
STEP5 吟味
人口減少を悲観だけで捉えず、脱工業化後の小規模で多心的な地域の可能性も評価する。
設問要件対応: 資料2の工業化・逆都市化の議論を踏まえて結論を補強する。
問2【解答】
今後の地域社会を構想する際には、人口を単なる人数としてではなく、具体的な生活を営む人間の関係として捉える視点が必要である。資料2は、「人口」という言葉が人間を没個性的な集合として扱い、管理や運営の対象にしてしまう危険を指摘している。資料1も、日本では人口減少と高齢化が進み、出生率が低いだけでなく出生数そのものも減っていることを示す。
この状況で、地域の価値を人口増加や若年労働力の確保だけで測れば、減少する地域は失敗した地域だと見なされる。しかし、地域社会の目的は人間を手段として集めることではなく、そこに住む人が生活し、支え合い、学び、働き、老いることができる場を作ることである。したがって必要なのは、人口の量だけでなく、年齢構成、世帯の形、移動手段、医療や介護、教育、仕事、住民参加を総合的に見る視点である。
たとえば、高齢者が多い地域でも、買い物支援、地域交通、在宅医療、交流拠点が整えば暮らし続けられる。若者が少なくても、都市との二地域居住、オンライン就労、移住者や関係人口との協働によって、地域外の力を取り込むことができる。また、自治体は住民を行政サービスの受け手としてだけでなく、地域を作る主体として位置づけるべきである。
人口減少は避けがたいとしても、すべてを都市に集中させる発想だけが解ではない。工業化時代の大量生産・大量集中の基準から離れ、小さくても複数の生活拠点がつながる地域社会を構想することが重要である。人数を増やす政策と同時に、一人ひとりが匿名の「人口」ではなく、名前と役割を持つ住民として生きられる地域を作るべきだ。
字数カウント: 670字



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