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鳥取大学 地域学部地域学科地域創造コース 前期日程 2021年度 小論文過去問解説(生活者として歴史に参画する行為)

鳥取大学 地域学部地域学科地域創造コース 前期日程 2021年度 小論文過去問解説(生活者として歴史に参画する行為)

設問文

令和3年度 鳥取大学入学者選抜試験問題(前期日程)小論文(地域学部地域学科地域創造コース) 【問題】新型コロナウイルスの流行下に限らず、人間の生存が危ぶまれる状況では、私たちの生活のあり方を根底から問い直すことが求められる。この課題を考える上で、「生活者」という主体について述べた次の文章に注目したい。これを読んで、あとの問いに答えなさい。 【問1】生活者とはどのような人びとなのでしょうか。筆者の見解を300字以内で要約しなさい。 【問2】課題文を踏まえ、東日本大震災の被災地に限らない地域において、人びとが「生活者として歴史に参画する」行為には、どのようなものがあると考えますか。私的価値と公共的価値という言葉を用いながら、800字以内で具体的に述べなさい。

課題文の要点

課題文は、生活者を、無名でありながら固有の「わたし」を持ち、家族や地域の暮らしを基点に生き方を見直す人びととして定義する。生活者は、危機の中で情報を集め、学び、自己判断でリスクを引き受ける一方、自分と家族の安全という私的価値を優先し、他者を排除する弱さも持つ。しかし、他者の痛みへの想像力を通じて、私的価値は公共的価値へ開かれ、協同行為を通じて歴史を動かす力になりうる。

問1【解説】

設問条件の判定

  • 制限字数: 300字以内
  • 意見論述の要求: なし
  • 選択テンプレート: 自由形式
  • 判定根拠: 「生活者とはどのような人びとか」を筆者の見解として要約する問題であるため。

解答プロセス

生活者の定義、危機時の自己判断、私的価値を優先しがちな弱さ、公共性へ向かう可能性を順にまとめる。自分の意見は入れず、筆者の見解に限定する。

問1【解答】

筆者のいう生活者とは、無名でありながら固有の「わたし」として、家族や地域の暮らしを基点に自分の生き方を見直す人びとである。生活が危機に陥ったとき、受動的な消費者にとどまらず、情報を集め、学び、自己判断でリスクを引き受ける。もっとも生活者は、私的利害を優先しがちな弱い個人でもある。しかし他者の痛みを想像し、共通の関心でつながり、小さな公共性を模索する過程に参画する存在である。

字数カウント: 188字

問2【解説】

設問条件の判定

  • 制限字数: 800字以内
  • 意見論述の要求: あり
  • 選択テンプレート: 5STEPs法
  • 判定根拠: 課題文を踏まえ、被災地以外の地域における参画行為を、私的価値と公共的価値という指定語を用いて具体的に論じる問題であるため。

解答プロセス

  • STEP1 議論の整理: 「課題文を踏まえ」に対応し、生活者を、私的な暮らしの危機から公共性へ向かう主体として整理する。
  • STEP2 問題発見: 「被災地に限らない地域」に対応し、日常的な地域課題で生活者の参画を考える。
  • STEP3 論証: 「私的価値と公共的価値という言葉を用い」に対応し、家族の安全という私的価値が、高齢者支援という公共的価値へ広がる過程を示す。
  • STEP4 結論・解決策: 「どのようなものがあるか」「具体的に述べなさい」に対応し、買い物支援、乗り合い送迎、見守り、住民調査、行政提案を具体化する。
  • STEP5 吟味: 私的価値が排除に転じる危険を検討し、他者への想像力によって公共的価値へ開く必要を確認する。

問2【解答】

課題文は、生活者を、暮らしの危機を通じて自分と家族の生き方を問い直し、他者との小さな共同性や公共性を模索する人びととして描く。設問は、被災地に限らない地域での行為を問うため、日常の地域課題を対象に考える必要がある。

生活者として歴史に参画する行為とは、普通の住民が生活上の不安を出発点に、地域の選択を変えていく行為である。ここでの問題は、私的価値である自分と家族の安全、便利さ、安心が、どのように公共的価値である他者の生命、地域の持続、共生へ結びつくかである。

具体例として、地域の高齢者の移動困難に対し、住民が買い物支援、乗り合い送迎、見守り活動を始める行為がある。出発点は、自分の親が通院できない、自分も将来移動できなくなるという私的価値への不安である。しかし、その不安を家庭内だけで処理せず、自治会、学校、商店、行政に共有すれば、孤立する高齢者を減らす公共的価値へ広がる。

たとえば住民が、バス停まで歩けない人、買い物に困る人、災害時に避難しにくい人を聞き取り、地図に整理する。さらに商店の空き時間を使った移動販売、近所同士の予約制送迎、子どもと高齢者が顔を合わせる交流拠点を提案する。これは専門家や行政に任せるだけでなく、生活の現場から地域の未来を作り直す行為である。

ただし、私的価値は排除にも向かう。自分の安全だけを優先すれば、弱い立場の人を迷惑な存在として拒むことも起こる。だから生活者の参画には、同じ地域で傷つきやすい他者の立場を想像し、私的価値を公共的価値へ開く姿勢が不可欠である。

字数カウント: 762字

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