青山学院大学 コミュニティ人間科学部コミュニティ人間科学科 一般選抜 2023年度 小論文過去問解説(共同作業と身近な協力)
問1【設問文】
この文章で提起されている問題とは何か。80字以上100字以内で記しなさい。
問1【解説】
課題文は、大学の授業で回答用紙を後ろから前へ順送りに集めるよう指示しても、学生が一人ずつ提出しに来る場面を出発点にしている。筆者は、学生だけでなく現代の日本人全体に、身近な場面で互いに協力して物事を処理する力が弱まっているのではないかと問題提起している。
問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問が求める「文章で提起されている問題」を80字以上100字以内でまとめる。
- STEP2 問題設定: 学生の行動を単なる授業中の不手際ではなく、日常の協力態勢の欠如として捉える。
- STEP3 論証: 回答用紙を順送りにできない例から、複数人で身近な課題を処理できない問題へ広げる。
- STEP4 解決策: 日常生活の中で協力する力が弱まり、社会にとって不幸な状態になっているとまとめる。
- STEP5 吟味: ボランティア批判ではなく、遠い善意より身近な協力を問う文章として読む。
問1【解答】
学生たちが回答用紙を順送りに集められない例を通じて、現代人が身近な場面で互いに協力し、複数人で物事を処理する態勢を失っているのではないかという日常的な共同性の問題。
字数カウント: 82字
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問2【設問文】
この文章で提起されている問題について、あなたの考えを600字以上800字以内で述べなさい。
問2【解説】
設問は、筆者の問題提起を踏まえて自分の考えを述べるもの。課題文は、学生が協力できない理由として、採点への警戒、他人に見られたくない気持ち、学生同士の関係の薄さなどを挙げる。さらに、明確な目的のあるボランティアには向かうのに、普段の持ち場で何をすればよいかが見えにくい点を問題にしている。解答では、協力の欠如を個人の性格だけでなく、評価不安、関係の希薄化、役割の不明確さから論じるとよい。
問2【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問が求める「文章で提起されている問題についての自分の考え」を600字以上800字以内で述べる。
- STEP2 問題設定: 筆者は、身近な場面で協力できないことを問題にしている。
- STEP3 論証: 評価への不安、他者への警戒、役割の不明確さが協力を妨げる。
- STEP4 解決策: 協力は大きな善意ではなく、日常の小さな役割を引き受ける習慣から育つ。
- STEP5 吟味: ボランティアを否定せず、遠い支援と身近な協力を連続したものとして扱う。
問2【解答】
私は、筆者の問題提起は現代の学校や地域にも当てはまると考える。回答用紙を順送りに集めることは難しい作業ではない。それでも学生が一人ずつ提出してしまうのは、能力が低いからではなく、他者との関係の中で自分がどう動けばよいかを判断する経験が少ないからだと思う。
第一に、評価への不安がある。学校では、正解を出すことや失敗しないことが重視されやすい。そのため、少しでも指示の意味が曖昧だと、間違った動きをして目立つより、自分だけで完結する行動を選びやすい。
第二に、他人との距離がある。隣の学生の名前も知らず、回答を見られたくないと感じる関係では、紙を渡すだけの行為にもためらいが生まれる。協力は善意だけでなく、相手に少し任せても大丈夫だという信頼から生まれる。
第三に、役割が見えにくいことも大きい。災害ボランティアのように目的がはっきりしている場では、人は動きやすい。しかし、教室、電車、地域の清掃、家庭内の手伝いのような日常の場では、自分が何をすれば全体がよくなるのかが見えにくい。
だから必要なのは、特別な奉仕精神を教えることではなく、身近な場で小さな役割を引き受ける練習である。授業で資料を回す、困っている人に声をかける、地域の作業で自分から一手間を引き受ける。こうした経験を通じて、人は他者と同じ場を共有している感覚を持てる。教員や地域の大人も、結果だけを評価するのではなく、誰かが全体のために動いたことを見える形で認める必要がある。
ボランティアは大切だが、遠くの誰かを助ける前に、普段の時間の中で隣の人と協力できることも同じくらい重要である。共同性は大きな理念ではなく、目の前の小さな面倒を分け合うところから育つ。その習慣があって初めて、災害や地域課題のような大きな場面でも、他者と連携して動けるのだと思う。
字数カウント: 740字



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