島根大学 医学部看護学科 前期日程・専門高校総合学科卒業生入試 2015年度 小論文過去問解説(家族難民)
問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 400字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 課題文の著者が述べるシングルの問題を要約する問題であるため。
設問文
課題文の著者は、現代の日本においてシングルはどのような問題を生じやすいと述べていますか。400字以内で要約しなさい。
解答プロセス
課題文は、シングルであること自体を問題視していない。問題は、家族や地域、宗教などの支えが弱まる中で、「自分を必要とし大切にしてくれる存在」を持てない人が増えることである。答案では、経済的側面と心理的側面の両方を入れる。
問1【解答】
著者は、シングルであること自体が問題なのではなく、シングルが「自分を必要とし大切にしてくれる存在」を持てなくなることが問題だと述べている。人間は、困ったときに生活を支え合う経済的・生活上の関係と、自分の存在を認められ、必要とされていると感じられる心理的な関係を必要とする。かつては宗教や地域コミュニティもその役割を担ったが、現代日本では家族の役割が大きくなっている。ところが、未婚、離婚、長寿化によって配偶者のいない期間が長くなり、従来型の家族を持てない人が増えると、誰にも包摂されず孤立しやすい。その結果、経済的にも心理的にも不安定になり、「家族難民」と呼ぶべき状態に陥りやすい。
字数カウント: 291字
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問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 400字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 男女別の世帯の種類と年齢別世帯人員割合の資料から読み取れる特徴を述べる問題であるため。
設問文
資料の図1及び図2から読み取れることを400字以内で述べなさい。
解答プロセス
OCRでは図の数値が一部乱れているが、男女別・年齢別に、単独世帯、夫婦のみ世帯、夫婦と子ども世帯、その他の割合を示す資料であることは確認できる。答案では、若年層から中年層では家族形成の影響が出ること、高齢層では単独世帯や夫婦のみ世帯が増え、男女差があることを中心にまとめる。
問2【解答】
図1、図2からは、世帯の形が年齢と性別によって大きく変化することが読み取れる。若年層では親などと同居する「その他」の割合が大きいが、二十代後半から四十代にかけては結婚や子育てに伴い、夫婦と子どもから成る世帯の割合が高くなる。一方、高齢になると子どもの独立や配偶者との死別の影響により、夫婦のみの世帯や単独世帯の割合が増える。特に女性は平均寿命が長いため、高齢期に単独世帯となる割合が男性より高くなりやすい。つまり、シングルの問題は若い未婚者だけの問題ではなく、人生の後半で誰もが直面しうる問題であり、高齢化の進行とともに一人暮らしや支援を必要とする人が増えることが示されている。
字数カウント: 289字
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問3【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 500字から600字
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 課題文の主張と資料を参考に、「家族難民」の増加を防ぐ方策について意見を述べる500字以上の論述問題であるため。
設問文
課題文の著者の主張及び資料を参考にして、「家族難民」の増加を防ぐ方策について、あなたの意見を500字から600字で述べなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
課題文は、家族難民を「自分を必要とし大切にしてくれる存在がいない人」とし、経済的・心理的な支えの欠如を問題にしている。資料は、高齢期に単独世帯が増えやすいことを示す。
設問要件対応: 「課題文の著者の主張及び資料を参考にして」に対応する。
STEP2 問題発見
家族だけに支援を任せると、未婚、離婚、死別、子どもの独立により支えを失った人が孤立する。
設問要件対応: 「家族難民」の増加を防ぐ方策の必要性を明確にする。
STEP3 論証
なぜなぜ分析を用いる。孤立が起きるのは支援関係が家族に集中するからであり、その背景には地域で弱いつながりを作る制度と場の不足がある。
設問要件対応: 方策の根拠を示す。
STEP4 結論
行政、医療、地域、職場が連携し、相談窓口、居場所、見守り、互助活動を整えるべきである。
設問要件対応: 防止策を具体化する。
STEP5 吟味
家族を否定するのではなく、家族に代わる複数の支えを作り、本人の自立と相互性を両立させる。
設問要件対応: 課題文の「必要とし大切にする」相互関係を踏まえる。
問3【解答】
「家族難民」の増加を防ぐには、支え合いを家族だけに任せず、地域の中に複数の関係を作る必要がある。課題文は、人間には経済的・生活上のケアと、必要とされ大切にされているという心理的承認が必要だと述べる。資料からも、高齢期には単独世帯が増え、特に死別などによって一人暮らしになる人が少なくないことが読み取れる。
問題は、家族を持たないことではなく、困ったときに頼れる相手や、自分の役割を感じられる場が失われることである。従来型の家族を前提にした支援だけでは、未婚、離婚、長寿化、子どもの独立によって生じる孤立に対応できない。
そこで、自治体は一人暮らしの高齢者や生活困窮者を把握し、保健師、民生委員、医療機関、地域包括支援センターが連携して早期に相談につなげる仕組みを整えるべきである。また、食事会、サロン、ボランティア、学習支援など、支援されるだけでなく誰かの役に立てる場を増やすことも重要である。
ただし、見守りが監視になったり、参加を強制したりしてはならない。本人の選択を尊重しつつ、弱いつながりをいくつも持てるようにすることが大切である。家族を唯一の安全網とせず、地域全体で「必要とし大切にし合う」関係を広げることが、家族難民を防ぐ方策である。
字数カウント: 520字



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