島根大学 医学部看護学科 前期日程 2025年度 小論文過去問解説(回り道)
問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 230字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 課題文中の下線部について、価値観が育まれた背景を説明する要約問題であるため。
設問文
問 1 下線部ア)“つまらない作品に当たって時間を無駄にすること”は、失敗という価値観が育まれた背景について、230字以内で説明しなさい。
課題文・資料の整理
課題文は、Z世代に「失敗したくない」「回り道やコスパの悪さを避けたい」という傾向があると述べる。その背景として、キャリア教育によって将来に役立つかを早く判断する圧力が強まったこと、SNSで同世代の活躍が常に見え、遅れる不安が生じることを挙げている。
解答プロセス
設問は「背景」を問うため、個人の性格にせず、教育環境と情報環境の二点を整理して説明する。
問1【解答】
背景には、早く進路を決め、学びや行動が将来や社会にどう役立つかを考えさせるキャリア教育の圧力がある。その結果、学問や趣味にも効率を求め、役に立たない時間を避けようとする。またSNSで同世代の成果が常に見えるため、少しでも効率の悪いことをすると遅れたと感じやすくなる。こうして、作品選びの失敗も時間を失うリスクと捉えられるようになった。
字数カウント: 167字
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問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 60字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 下線部の意味を短く説明する記述問題であるため。
設問文
問2 下線部イ)夢にすらコスパを求めるとはどのようなことを指しているか、60字以内で記述しなさい。
解答プロセス
「夢」や進路まで、社会への有用性や成果、効率で測ることを簡潔にまとめる。
問2【解答】
将来の夢までも、好きかどうかより社会への有用性や成果の出やすさで選ぼうとすること。
字数カウント: 41字
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問3【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 350字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 表1と図1から読み取れる内容を説明する資料読解問題であるため。
設問文
問3 資料の表 1「働く若手社員(20代)の仕事観(仕事において譲れないもの・価値観)」と、図 1「仕事観の有無を集計軸として見る失敗観」から読み取れることを350字以内で記述しなさい。
課題文・資料の整理
表1では、仕事観を明確に語れる若手は14.3%で、語れるほどではないが持っている層を含めても半数弱である。図1では、仕事観を持っている層は「失敗は気にせずまずはやってみる」「失敗は気になるがやりながら学ぶ」が比較的多く、仕事観を持っていない層は周囲や上司に確認しながら失敗を避ける傾向が強い。
解答プロセス
表1で仕事観の有無を確認し、図1で失敗観との関連を読む。単に数値を並べず、仕事観が主体的な行動に関わることをまとめる。
問3【解答】
表1から、20代若手社員のうち、仕事観を明確に語れる人は14.3%にとどまり、語れるほどではないが持っている人を合わせても半数弱である。一方、考えたことはあるが固まっていない人や持っていない人も多く、仕事における価値観がまだ形成途中の層が少なくない。図1からは、仕事観を持つ人ほど、失敗は気にせずまずやってみる、または失敗を気にしつつもやりながら学ぶ傾向が強いと読める。逆に仕事観を持たない人は、周囲や上司に確認しながら失敗を避ける姿勢が目立つ。つまり、仕事観の有無は、失敗を学びとして受け止め主体的に行動できるかに関わっている。
字数カウント: 265字
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問4【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 500字から560字
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 課題文と資料を踏まえ、看護職を目指す自分に必要な「回り道」について考えを述べる問題であるため。
設問文
問4 課題文と資料をふまえ、看護職を目指すあなたにとって必要な「回り道」は何か、あなたの考えを500字から560字で記述しなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
課題文は、効率やタイパを重視し、失敗や回り道を避ける傾向を示す。
設問要件対応: 課題文を踏まえる。
STEP2 問題発見
看護では、失敗を避ける意識だけでは、患者の背景を理解する力が育ちにくい。
設問要件対応: 看護職を目指す自分に必要な回り道を設定する。
STEP3 論証
資料が示すように、仕事観を持つ人は失敗から学びやすい。患者理解も試行錯誤を通じて深まる。
設問要件対応: 資料を踏まえる。
STEP4 結論
必要な回り道は、患者の生活背景を聞き、失敗を振り返る経験を重ねることだと述べる。
設問要件対応: 自分の考えを明示する。
STEP5 吟味
医療では無責任な失敗は許されないため、準備と確認を前提に経験から学ぶと補う。
設問要件対応: 失敗礼賛にしない。
問4【解答】
課題文と資料が示すのは、失敗を避け、効率よく正解に到達しようとする価値観が強まっているという問題である。確かに、時間を無駄にしたくないという意識は理解できる。しかし、看護職を目指す者にとって、失敗や遠回りをすべて避ける姿勢は危うい。
看護で必要な回り道とは、患者の言葉にならない不安を理解するために、すぐ結論を出さずに関わり続ける経験である。検査値やマニュアルだけを見れば効率的に対応できるように見えるが、患者の生活背景、家族関係、痛みへの感じ方は一人ひとり異なる。
たとえば、服薬を守れない患者を怠慢と決めつければ対応は早い。しかし、実際には経済的理由、認知機能、家族の支援不足、副作用への恐怖があるかもしれない。そこで話を聞き、試行錯誤する時間は遠回りに見えるが、適切な看護につながる。
私は、看護職を目指す自分に必要な回り道は、失敗を振り返り、他者の立場を想像する経験を重ねることだと考える。実習や学習でうまくいかなかった場面から逃げず、なぜ伝わらなかったのか、何を見落としたのかを考えることが大切である。
もちろん、医療現場では無責任な失敗は許されない。だからこそ、準備と確認を徹底したうえで、経験から学ぶ姿勢が必要である。効率だけを求めず、患者理解のために必要な遠回りを引き受けることが、看護職としての成長につながる。
字数カウント: 560字



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