新潟大学 法学部 前期日程 2022年度 小論文過去問解説(自治体の結婚支援)
問【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 1000字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 政府・自治体の結婚支援について、賛成意見と反対意見を紹介したうえで是非を論じる問題であるため。
設問文
現在、政府および自治体は、少子化対策を目的として結婚支援のための取組を推進している。政府や自治体が結婚支援に取り組むことについては、賛成、反対の両方の意見がある。どのような賛成意見が考えられるのか、またどのような反対意見が考えられるのか。賛成・反対の意見を紹介しつつ、政府や自治体が結婚支援に取り組むことの是非について、あなたの考えを1000字以内で述べなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
結婚支援は少子化対策として行われるが、結婚は個人の自由な選択でもある。
設問要件対応: 政府・自治体の結婚支援という論点を整理する。
STEP2 問題発見
支援が出会いの機会を補う政策になる一方、結婚や出産を当然視する圧力にもなりうる。
設問要件対応: 賛成・反対の両方の意見を設定する。
STEP3 論証
賛成意見として地域の出会い不足や経済不安への支援、反対意見として私生活への介入、多様な生き方の軽視を示す。
設問要件対応: 賛成意見と反対意見を紹介する。
STEP4 結論
行政は結婚そのものを促すのではなく、希望する人が選択しやすい環境整備に限定して関わるべきだと述べる。
設問要件対応: 是非について自分の考えを述べる。
STEP5 吟味
少子化対策は、結婚支援だけでなく、雇用、住宅、育児、教育費の支援と組み合わせる必要がある。
設問要件対応: 一面的な政策評価を避ける。
問【解答】
政府や自治体が結婚支援に取り組むことには、一定の意義があるが、その目的と方法を慎重に限定すべきだと考える。
賛成意見としては、結婚を望んでいても出会いの機会が少ない人を支援できる点がある。人口減少地域では、若者の流出や職場・地域の人間関係の縮小によって、自然な出会いが生まれにくい。自治体が相談、イベント、情報提供を行えば、民間サービスを利用しにくい人にも機会を広げられる。また、結婚や子育てに伴う経済的不安を行政が把握し、住宅、雇用、子育て支援につなげる入口にもなりうる。特に地方では、若者の定住や地域コミュニティの維持とも関連するため、行政が環境を整える意義はある。
一方、反対意見も重要である。結婚は個人の自由な選択であり、政府や自治体が少子化対策の手段として強調しすぎると、結婚しない人、子どもを持たない人、同性カップル、ひとり親などを周辺化する危険がある。また、結婚支援だけを行っても、不安定雇用、長時間労働、育児負担、教育費の重さが残れば、根本的な少子化対策にはならない。行政が私生活に踏み込みすぎることへの警戒も必要である。さらに、支援の対象を異性間の結婚に狭く限定すれば、家族の多様性を制度が否定することにもなりかねない。
私は、行政の役割は、結婚を促すことではなく、希望する人が結婚や家族形成を選びやすい条件を整えることにあると考える。したがって、結婚支援を行うなら、参加は完全に任意とし、独身者に劣等感を与える広報を避けるべきである。また、結婚相談や出会いの場だけでなく、若者の所得安定、住居支援、保育サービス、育児休業を取りやすい職場づくりを同時に進める必要がある。
結婚支援は、個人の生き方を国家目的に従わせる政策であってはならない。多様な生き方を尊重しながら、結婚を望む人の障壁を減らす環境整備としてなら、政府や自治体が取り組むことは許されると考える。
字数カウント: 785字



コメントを残す