大阪府立大学 地域保健学域総合リハビリテーション学類理学療法学専攻・作業療法学専攻 前期日程 2019年度 小論文過去問解説(専門職と義足デザイン)
問題I 設問1【設問文】
設問1 対象者の自立を支援するリハビリテーション専門職を目指す立場として、「ディスエイブリング・プロフェッショナルズ」という問題提起をどのように考えますか。あなたの考えを400字以上600字以内(句読点を含む)で述べなさい。
問題I 設問1【解説】
課題文は、近代化によって医療、介護、教育、安全などの「命の世話」が専門職や行政サービスに委託され、人々の生活は安全で便利になった一方、市民が自分たちで命のケアを行う力を失ったと述べる。「ディスエイブリング・プロフェッショナルズ」とは、専門職が人々を無能力化してしまう危険を指す。
問題I 設問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問は、リハビリテーション専門職を目指す立場から、専門職が対象者を無能力化する問題提起を評価することを求めている。
- STEP2 問題設定: 専門職が支援を引き受けすぎると、対象者本人や家族、地域の力を奪う危険がある。
- STEP3 論証: リハビリは本来、できないことを代行するだけでなく、本人が生活を再構成する力を支える営みである。
- STEP4 解決策: 専門職は「やってあげる人」ではなく、本人の選択と参加を増やす伴走者であるべきだ。
- STEP5 吟味: ただし専門知識を退けるのではなく、安全を守る専門性と自立支援を両立させる必要がある。
問題I 設問1【解答】
私は、「ディスエイブリング・プロフェッショナルズ」という問題提起を、リハビリテーション専門職にとって重要な警告だと考える。課題文は、医療や介護などを専門職に委託した結果、社会は安全で便利になったが、市民が自分たちで命の世話をする力を失ったと述べている。
リハビリの現場でも、専門職が「正しい方法」をすべて決め、対象者に従わせるだけなら、本人は自分の身体や生活を考える主体ではなくなる。例えば移動、食事、更衣などを安全だからという理由で職員が先回りして代行すれば、短期的には事故を防げても、本人が試し、失敗し、工夫する機会を奪うことになる。そうなれば退院後や在宅生活で、専門職がいない場面に対応できなくなる。
したがって専門職は、対象者を保護の客体にするのではなく、生活を再び組み立てる主体として支援すべきである。具体的には、本人の目標を聞き、できる動作と難しい動作を一緒に確認し、家族や地域資源も含めて練習の場を作る必要がある。本人が「自分で選べた」と感じる過程を守ることが、自立支援の核心である。
もちろん専門性は不要ではない。危険な動作を放置すれば自立支援ではなく無責任になる。重要なのは、専門知識を使って対象者の選択肢を狭めるのではなく、選択肢を増やすことである。専門職は代行者ではなく、本人が自分の生活を取り戻すための伴走者であるべきだ。
字数カウント: 570字
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問題II 設問1【設問文】
設問1 あなたは、著者がなぜ下線部のように感じたと思いますか。さらに、デザイナーが義足の製作にどのように貢献できると思いますか。あなたの考えを400字以上600字以内(句読点を含む)で述べなさい。
問題II 設問1【解説】
課題文は、アスリート用義足のデザイン研究をめぐる文章である。著者は最初、義足ランナーの切実な状況に「デザイン」という言葉が入り込む余地はないのではないかと感じた。しかし選手が義足を「かっこいい」と受け止め、もっとよい義足を望んでいると知り、デザインが尊厳や意欲に関わると気づく。
問題II 設問1【解答プロセス】
- STEP1 要件確認: 設問は、著者が「やれることがある」と感じた理由と、デザイナーの貢献を論じることを求めている。
- STEP2 問題設定: 義足は機能だけでなく、使用者の自己像、競技への意欲、社会の見方に関わる。
- STEP3 論証: デザイナーは量産品の外形を整えるだけでなく、先端技術と個々の身体の関係を設計できる。
- STEP4 解決策: デザイナーは、義足を「欠損を補う道具」から「走る身体を表現する道具」へ変えることに貢献できる。
- STEP5 吟味: ただし美しさだけでなく、安全性、適合性、義肢装具士や使用者との協働が不可欠である。
問題II 設問1【解答】
著者が「やれることがある」と感じたのは、義足が単に失われた脚を補う器具ではなく、使用者の自己理解や競技への意欲に関わるものだと気づいたからだと思う。最初、著者は義足ランナーの切実な状況に対し、デザインが入り込む余地はないのではないかと恐れていた。しかし選手は「この脚をかっこいいって言ってくれて、うれしい」と語り、もっとかっこいい義足を望んだ。
この場面は、義足の価値が機能だけで測れないことを示している。走れるかどうかだけでなく、自分の身体をどう受け止め、人前でどう表現できるかも重要である。美しい義足、誇れる義足は、使用者の行動範囲や挑戦する気持ちを広げる。
デザイナーはここに貢献できる。第一に、素材や形状を工夫し、速く安全に走れる機能を義肢装具士や技術者とともに高められる。第二に、一人一人の身体や走り方に合わせたローカルカスタマイズを通して、使う人が自分のものだと感じられる義足を作れる。第三に、観衆の前で走る義足を魅力的に示すことで、障害の見方を変える力も持つ。少数の使用者のための道具であっても、その姿が社会に与える意味は大きい。
ただし、見た目だけを優先してはならない。安全性、適合性、本人の声を土台にしたデザインこそが、義足製作への本当の貢献である。
字数カウント: 531字



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