大阪府立大学 地域保健学域教育福祉学類 前期日程 2020年度 小論文過去問解説(自閉症と共に生きる社会)
I-問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 150字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 著者が「自分の価値」をどう考えているかを、本文内容に即して説明する問題であるため。
設問文
下線部(1)「自分の価値」について著者はどのように考えているか、150字以内で説明しなさい。
解答プロセス
本文は、生産性や人の役に立つことだけで人間の価値を測る考えを退ける。著者は、誰かに「好き」と言ってもらえること、大事な存在だと思ってもらえることが、人の価値を高めると述べる。答案では、生産性ではなく関係の中で価値が支えられる点を示す。
I-問1【解答】
著者は、人の価値は生産性の高さや働けるかどうかだけで決まるものではないと考えている。誰かが自分を「好き」だと言い、大事な存在だと思ってくれることによって、人は自分の価値を感じられる。価値は能力だけでなく、他者との関係の中で支えられるのである。
字数カウント: 121字
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I-問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 500字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 多様な人びとが共に生きる社会を実現するための具体的行動を、自分の考えとして述べる問題であるため。
設問文
障害者のみならず多様な人びとが共に生きる社会を実現するために、具体的に誰がどのようなことを行えばよいか、本文をふまえてあなたの考えを500字以内で述べなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
本文は、話せない人にも気持ちがあり、見た目の行動だけで決めつけられることや、本人のいない場のように扱われることが苦痛だと述べる。
設問要件対応: 「本文をふまえて」に対応する。
STEP2 問題発見
問題は、障害の有無や能力の差によって、本人の意思や価値が周囲から低く見られることである。
設問要件対応: 共に生きる社会で解決すべき点を明確にする。
STEP3 論証
演繹法を用いる。共に生きる社会とは、本人が意思を尋ねられ、役割を持ち、関係の中で価値を感じられる社会である。
設問要件対応: 具体策の根拠を示す。
STEP4 結論
学校、職場、行政、家族が、本人への確認、合理的配慮、役割づくりを行うべきである。
設問要件対応: 「誰がどのようなことを行えばよいか」に答える。
STEP5 吟味
ただし支援は一方的な善意ではなく、本人の意思を聞きながら調整する必要がある。
設問要件対応: 本文の「尋ねてほしい」という要点を反映する。
I-問2【解答】
多様な人びとが共に生きる社会を実現するには、まず周囲の人が本人に尋ねることを徹底すべきである。本文の著者は、話せないからといって気持ちまで決めつけられること、本人がその場にいないかのように話を進められることに傷つくと述べている。したがって家族、教師、支援者、医療福祉職は、「こう思っているのではないか」と確認しながら関わる必要がある。
次に、学校や職場は、障害のある人を助けられるだけの存在にしない工夫を行うべきである。本文では、著者が人に助けられても、自分が人の役に立てないことを悲しいと感じていた。係活動、共同作業、発表方法の選択、短時間勤務などを整え、本人ができる形で役割を持てるようにすることが重要である。
さらに行政は、合理的配慮を個人の善意任せにせず、相談窓口、情報保障、移動支援、就労支援を制度として整えるべきである。ただし、支援は「してあげる」ものではない。本人の意思を聞き、必要な配慮を共に調整することで、誰もが大事な存在として参加できる社会に近づく。
字数カウント: 433字
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II-問1【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 100字以内
- 意見論述の要求: なし
- 選択テンプレート: 自由形式
- 判定根拠: 「言いっぱなし聞きっぱなし空間」を享受できない空間を、本文に即して説明する問題であるため。
設問文
下線部(1)「言いっぱなし聞きっぱなし空間」を享受できないときの空間について、本文をふまえて100字以内で説明しなさい。
解答プロセス
本文では、言いっぱなし聞きっぱなし空間では、評価や応答を求められず、安心して語れる。これを享受できない空間は、話す内容が評価され、反応や解釈にさらされ、自己を立ち上げにくい空間である。
II-問1【解答】
発言に評価や助言、反論が返され、相手の視線や反応を気にして語らざるを得ない空間である。そのため安心して自分の感覚を探れず、「わたし」を立ちあげにくい。
字数カウント: 75字
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II-問2【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 指定なし
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: 5STEPs法
- 判定根拠: 安全な状態で「わたし」を立ちあげられない人の具体例と理由を説明する問題であるため。
設問文
下線部(2)にあるように、安全な状態で「わたし」を立ちあげることができない人が社会にはさまざま存在している。たとえばどのような人が該当するか、具体的に例を1つ挙げて、なぜそのような人がこの例に該当すると考えたかを説明しなさい。
解答プロセス
5STEPに当てはめた書き方
STEP1 議論の整理
本文の自助グループでは、相手の顔を見ず、助言や反論をせず、ただ語り聞くことで、安全な密室の中で「わたし」を立ちあげる条件が生まれる。
設問要件対応: 下線部(2)の意味を整理する。
STEP2 問題発見
安全に語れない人は、語った瞬間に評価、否定、詮索、処罰にさらされる。
設問要件対応: 該当する人を選ぶ基準を示す。
STEP3 論証
具体例として、家庭や学校で長く否定されてきた不登校経験者を挙げる。本人が話すたびに「甘え」「努力不足」と判断されると、自分の感覚を言葉にできない。
設問要件対応: 例と理由を説明する。
STEP4 結論
不登校経験者には、原因を決めつけず、言いっぱなし聞きっぱなしで語れる場が必要である。
設問要件対応: その人が該当する理由をまとめる。
STEP5 吟味
ただし不登校経験者すべてが同じではないため、本人が望む距離や方法を選べることが重要である。
設問要件対応: 一般化しすぎない条件を加える。
II-問2【解答】
具体例として、家庭や学校で長く否定されてきた不登校経験者が挙げられる。本文の「言いっぱなし聞きっぱなし」の空間では、話し手の顔を見つめず、助言や反論をせず、ただ語りが置かれる。そのため、話し手は他者の評価に直ちにさらされず、自分の感覚を探ることができる。
不登校経験者の中には、自分の苦しさを話すたびに「甘え」「逃げ」「努力不足」と決めつけられてきた人がいる。そのような経験が重なると、本人は自分の疲れ、不安、恐怖、怒りを言葉にする前に、また否定されるのではないかと身構える。つまり、語る場が安全な密室にならず、周囲の評価を先取りする場になってしまう。
この場合、必要なのは、すぐに登校を促したり原因を断定したりする場ではない。まず、本人が自分の経験を順序立てずに話し、聞き手が評価せず受け止める場である。そこで初めて、「自分は何をつらいと感じているのか」「どのような関係なら安心できるのか」を確かめられる。ただし、不登校経験者を一括りにしてはならない。対面で話したい人もいれば、文章やオンラインの方が話しやすい人もいる。本人が語り方を選べることも、安全に「わたし」を立ちあげる条件である。
字数カウント: 493字
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II-問3【解説】
設問条件の判定
- 制限字数: 300字以内
- 意見論述の要求: あり
- 選択テンプレート: PREP法
- 判定根拠: 社会全体が「言いっぱなし聞きっぱなし」の空間のみになった場合を、300字以内で論じる問題であるため。
設問文
もし社会が「言いっぱなし聞きっぱなし」の空間のみになったら、どのような社会になると思うか。あなたの考えを300字以内で述べなさい。
解答プロセス
「言いっぱなし聞きっぱなし」は、安全に語るためには有効だが、社会全体がそれだけになると、応答、合意形成、責任ある判断ができなくなる。PREPで、利点を認めた上で限界を述べる。
II-問3【解答】
社会が「言いっぱなし聞きっぱなし」の空間のみになれば、安心して語れる人は増えるが、共同で問題を解決する力は弱まると思う。この空間は、評価や反論を受けずに自分の感覚を立ちあげるためには大切である。しかし社会生活では、医療、教育、仕事、政治などで、互いの発言を受け止めたうえで調整し、決定する必要がある。誰も応答せず、言葉がただ置かれるだけなら、誤解の修正も合意形成も責任の確認もできない。したがって必要なのは、その空間だけの社会ではなく、まず安全に語れる場を保障し、その後で対話や判断につなげる社会である。
字数カウント: 252字



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