早稲田大学 法学部 AO入試 志望理由書 提出例(ローリー・ゲイ研究会向け)

  • 議論の整理・・・

優れた文学作品は、翻訳されることにより、言語・時代・国境を越えて多くに人々の手に届けられる。しかし、翻訳には、無意識のうちに生じてしまうバイアスが存在することも事実であろう。なぜなら、翻訳が原作者とは異なる人物である訳者によって行われている以上、訳者の個人的な解釈が必然的に介在することになるからである。

  • 問題発見・・・

では、翻訳にはどのような意義があるのだろうか。原文の特色をより正確に表現するために様々な工夫が試みられる過程で、知られていなかった原文の本質が明らかにされることもあるだろうが、翻訳の意義はそれにとどまるものなのだろうか。

  • 論証・・・

私は、これらの問いに答えるには、翻訳が行われた時代や社会の正確かつ緻密な理解を前提として、訳者自身のライフヒストリーをも体系的に理解することが重要だと考える。例えば、近代日本語から外国語への翻訳について、ローリー・ゲイ教授は、与謝野晶子の『新訳源氏物語』をとりあげ、光源氏の行動の訳文に、与謝野晶子の夫であった鉄幹に対する晶子自身の心情が反映されているのではないかと推測しており、翻訳者の価値観が翻訳の中に表れ、文学が翻訳者の実生活との関わり中で行われていく可能性が示唆されている[1]

  • 結論・・・

そこで、花屋玉栄『源氏物語』の研究、正親町町子『松陰日記』の英訳、与謝野晶子と古典文学などを専門に研究し、日本文学の専門家として名高い貴学法学部のローリー・ゲイ教授に師事し、上述の問題点を整理するべく源氏物語の受容史や女性の伝記について研究を深めたいと考えている。

貴学法学部のローリー・ゲイ研究会が上述の研究を進めるのに最適な研究環境との確信のもと、貴学法学部に入学しローリー・ゲイ研究会に入会することを強く希望する。

[1] ゲイ・ローリー「与謝野晶子の『新訳源氏物語』―その誤訳の意義を中心に―」国際日本文学研究報告集2『日本文学 翻訳の可能性』(風間書房、2004年)

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