早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(鈴木伸一研究室向け)

  • 議論の整理

近年の研究により、うつ病の慢性化や悪化に様々な認知メカニズムが関与していることが分かってきた。物事を何度も繰り返し考える認知処理である反すうもうつ病と強く関連することが示唆されており、抑うつ的反すうによって自身が不快になる記憶を想起し続けてしまう為に抑うつ症状の悪化を招くと考えられている。従って、反すう症状を適切に制御することはうつ病治療にとって有効な処置である。

  • 問題発見

反すうはbroodingとreflectionという2つの因子に分けることが出来るが、前者はくよくよと悲観的に考え込む認知処理であり、反すうの病理的側面を担っていると考えることが出来る。さらにbroodingが脳のワーキングメモリを低下させる可能性が示唆されており、これが抑うつ的思考の抑制やポジティブな情報への注意の切り替えを阻害させる為に抑うつ的反すうが持続してしまうと考えられている。それでは、broodingによるワーキングメモリへの悪影響を防ぐ方法はないのだろうか。

  • 論証

実はbroodingがワーキングメモリの全てに影響を及ぼす訳ではないことが分かっている。鈴木教授らの先行研究によれば、言語性ワーキングメモリ容量はbroodingによって消耗されないことが報告されている。この知見から、言語情報ではなく視空間的情報に関するワーキングメモリを重点的に訓練することが抑うつ的症状の低減につながるのではないかと考えられる。そこで、視空間的ワーキングメモリ容量を増加させる、あるいは解放する方法について検討を行いたい。

  • 結論

この研究はうつ病の認知療法に関する新たな知見を与えるものであり、日本だけでなく世界中の人々を苦しめるこの精神疾患への対策に繋がるものと期待している。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、臨床心理学分野において様々な環境に置かれた人々の抑うつ症状や不安症状について数多く研究を行ってきた鈴木教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

佐藤秀樹、竹林唯、巣山晴菜、伊藤理紗、鈴木 伸一 (2017)「 broodingが言語性ワーキングメモリ容量におよぼす影響の検討」 Journal of Health Psychology Research. 30, 19-25

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