早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(掛山正心研究室向け)

  • 議論の整理

自閉スペクトラム症や統合失調症などの精神疾患の発症に、発達期における環境要因が寄与していることを支持する研究結果が近年になり報告されている。特に自閉スペクトラム症は従来まで遺伝的要因が発症に大きく関わるとされていたが、現在では環境要因が6割を占めるという結果も報告されている。このような環境要因には、母子関係不和などによる社会的要因以外にも、有害化学物質への曝露といった要因も考えられるが、特に胎児期における母体からの曝露に関しては、胎児の神経系発達に大きな影響を与えることが推察される為、その影響について学術的研究を行う必要がある。

  • 問題発見

子宮内環境が胎児の代謝システムに影響を与えた結果、将来の疾患リスクを高めるという仮説はDOHaD仮説と呼ばれ、予防医学の観点から近年盛んに研究されている。掛山教授らは、高度社会性脳機能の発達についてのDOHaD仮説を検討するために、母体を通じてダイオキシンを曝露されたマウスを用いてその社会行動に変化があるかどうかを検討している。その結果、処理マウスでは“low competitive dominance”という競争への参加を忌避する表現型が見られた。この表現型はヒトのASDなどの精神疾患と関係するのであろうか。

  • 論証

興味深いことに、この表現型は幼少期に社会的隔離を経験させたマウスにも観察されている。この結果はダイオキシン曝露と社会的隔離が同じ方向性の変化をマウスにもたらしたことを意味しており、ASDがこれらの要因によって引き起こされるとする仮説を支持する結果である。また、免疫組織学的観察によれば、ダイオキシン曝露マウスの脳活動パターンが、ヒトのASD当事者と共通していたという報告もある。従って、この表現型にはヒトのASD発症メカニズムと何かしらの関係があると考える。

  • 結論

この仮説に基づいて、より高度なマウスの社会行動を評価する系を設計し、ダイオキシン曝露マウスの活動を観察したい。この研究はASDに関する理解を助ける一助となると期待できる。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、環境脳科学分野において多くの研究を行っている掛山教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

掛山正心 (2018)「高次脳機能の健康を阻害する幼少期の環境要因と遺伝要因」『日本衛生学雑誌』 73, 110-114

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