早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(岩崎香研究室向け)

  • 議論の整理

現代の人権意識が強調するのは「個の尊重」であるといえる。それは社会的弱者であっても自ら声をあげることのできる社会の実現を目指すことに他ならない。2000年に行われた社会福祉基礎構造改革ではその意向を反映するように、従来の社会福祉が持っていた一方的な措置制度的な性格から、利用者とサービス提供者との対等な関係の確立を求める普遍的福祉への転換が図られた。しかしながら個人の意思尊重という点に関して、第3者による判断が困難な精神障碍者に対する支援など、実践の上で課題を抱えていることも事実である。

  • 問題発見

社会生活を送ることが難しい人々に対する支援の一つの形として近年注目されているのがソーシャルワークである。これは、制度的性格の強い社会福祉に実践という要素を加味したものであり、医療や教育、地域社会など数多くの現場で活躍している。ソーシャルワークの一機能として重要な要素として、アドボカシー機能が挙げられているが、この具体的実践について言及している学術的研究は数少ない。岩崎教授は精神保健福祉の現場に携わるソーシャルワーカーへのインタビュー調査から、人権擁護機能発揮の為のモデルを提案しているが、これを他の福祉領域に拡張することはできるだろうか。

  • 論証

上述のモデルで重視されていたのは、個人を対象とした調整機能や代弁機能のようなミクロな領域と地域や社会を対象としたネットワーキング機能のようなマクロな領域とを結ぶ、教育・啓発機能の活用である。この機能により、ソーシャルワーカーとクライアント、そしてそれを取り巻く社会の一人一人が人権を擁護するという意識を主体的に持つことができる。これはあらゆる福祉領域に必要な視点であり、教育機能は横断的に各領域を繋げる機能を持っていると考えられる。

  • 結論

判断能力が不十分な人々の人権をどのように主張していくのかは、様々な学問領域の手助けを借りつつ解決すべき複合的な問題である。そしてその議論の土台を規定するのが社会福祉学であると私は考えている。その意味でも人権の教育・啓蒙を改めて論じ、社会福祉学におけるスタンスを明確にすべきであると考える。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、社会福祉学分野において主に精神障害者の権利についてソーシャルワークの観点から論じてきた岩崎教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

岩崎香 (2010)「人権を擁護するソーシャルワーカーの機能と役割に関する研究—精神保健福祉領域における実践過程を通して」『大正大学大学院研究論集』 34, 155-157

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