早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(永島計研究室向け)

  • 議論の整理

熱中症の危険性が広く認知されるようになり、その予防策に関する学術的研究の需要も高まっている。特に、重症化した場合の中枢神経系へのダメージが死亡事故に繋がりやすいということを考えると、脳の体温調節システムについて理解を深める必要があるといえる。脳は恒温動物の組織の中でも大きな代謝熱産生を行う部位であるが、脳組織自体は熱に弱いという特徴を持っている。その為、恒温動物は高体温時に脳を選択的に冷却するメカニズムを利用していることが知られているが、ヒトにおいてこの機構が存在するかどうかは未だに議論の的となっている。

  • 問題発見

選択的能冷却(SBC)を行う多くの哺乳類では、頸動脈網を利用した動静脈血間の熱交換によってこれを達成する。しかしながら、ヒトの脳底には頸動脈網が存在しない為、ヒトがSBCを行うのであればこの方法以外によってであると考えられる。これまでの研究により提案されてきたのは、眼角静脈血流による冷却、汗による頭部熱放散などであるが、これらのシステムが実際に脳の温度上昇に対応して機能しているかどうかは定かではない。ヒトにおけるSBCの活動を捉える方法はあるのだろうか。

  • 論証

そもそも、ヒトにおける脳温の推定には鼓膜温が利用されてきたが、鼓膜温は顔面皮膚温度の影響を受けることが報告されている為、鼓膜温をもとにしたSBC研究は妥当性が低いという意見がある。永島教授らは顔面に送風を行った際の鼓膜温の変化を正常体温と高体温のヒトで検討している。そこで示唆されたのが、脳内温度はある種の勾配を作って分布しているということである。そこで、本研究では脳の各部位における温度分布を分析し、SBCを誘発する部位を特定したいと考えている。

  • 結論

ヒトは一定の体温を維持しながら生存している。この恒常性をもたらす仕組みを解明することは、恒常性が乱れた場合の対応策を考案する一助となる。この研究が熱中症対策に貢献することを期待している。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、運動生理学の分野において体温と体液の恒常性を中心テーマに数多くの研究を行ってきた永島教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

Matsuda-Nakamura, K. Nagashima (2014). Protection of the brain against heat damage. The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine. 3(2), 217-221

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