早稲田大学 人間科学部 AO入試 志望理由書 提出例(古山宣洋研究室向け)

  • 議論の整理

人間は環境に様々な意味を見出し、その意味に基づいて行為を行う。ギブソンの提唱したアフォーダンスという概念は、環境知覚を論じるうえでの新しいアプローチを提供し、これを基底にして生態心理学という学問領域が誕生したといっても過言ではない。この分野は伝統的心理学の枠組みを克服すべく、人間が環境と関係を切り結ぶ際に根幹となる知覚システムに焦点を当てて分析を行ってきた。そこで近年重要視されているのが、環境と身体動作の関係性である。

  • 問題発見

日常的な人間の身体動作を詳細に観察すると、時折微細な錯誤行為が現れることが認められている。この錯誤行為はマイクロスリップと呼ばれ、リードはこの現象を単なる注意の欠陥ではなく、行為の組織化に必要な環境探索の一ステップと捉えた。しかしながら、マイクロスリップと環境探索との関りを個別事例的に研究した例は少なく、研究例の蓄積が待たれている。この興味深い現象が上述のような意味を持つ場面としては何が考えられるだろうか。

  • 論証

古山教授らは行為者が置かれる環境を言語コミュニケーションの場に拡張し、対話中の自発的身振りにおいて生起するマイクロスリップを量的・質的に分析した。ここで得られた結論は、身振りにおける複数の視点間にずれが生じるといった複雑な状況下でこの現象が見られたということであった。このようにマイクロスリップは言語コミュニケーションの特定の場面で有意に生じるものであり、両者には相関関係があることが推察できる。この研究を踏まえ、本研究では電話のように他者が直接存在しない場合に、この現象の発生に変化が生じるのかを分析したい。

  • 結論

マイクロスリップのような無意識下の動作を捉えることで、これまで明らかにならなかった環境探索のメカニズムを解明する一助となることが期待できる。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、認知科学や生態心理学分野において、身体動作と心理状態との関係に着目した多くの研究を行ってきた古山教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

古山宣洋、末崎裕康、関根和生 (2011) 「身振りにおけるマイクロスリップと視点の持続性」『社会言語科学』 14(1), 5-19

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