早稲田大学 教育学部 外国学生入試 志望理由書 提出例(木村晶子ゼミ向け)

■議論の整理

ジェンダー意識が強い時代に女性作家はどのように声を上げていたのか。その例として重要な作品にエリザベス・ギャスケルの『メアリ・バートン』が挙げられる。この小説は労働者対資本家という枠組みの中で、労働者の声を細部まで細かく描写しながら語ろうとする労働者の視点から広く読まれてきた作品でもある。

 

■問題発見

一方で、この小説は、ジョン・バートンという男性を主体にした労働者の文学ではあるものの、娘のメアリ・バートンに焦点が移動するにつれて、女性の労働と言う問題も浮き彫りにする。研究者によれば、ジェンダー規範が厳格なヴィクトリア朝時代にあって、女性をどのように描くかについて挑戦し、同時に限界も体現した作品だと評されている。どういうことか。

 

■論証

初めは労働者の搾取という文脈でジョン・バートンを取り上げているものの、途中から娘のメアリ・バートンに語りが移行することは、様々な要請があると論者は述べている※1。労働者を正面から語るのが難しいこと、公的空間ではなく私的空間の中で女性の抑圧を描こうと腐心していることなどが挙げられている。一方で女性の空間はメロドラマに陥ってしまうのも、男性主義的な「検閲」の機能の目をくぐって作品化しなくてはいけない語りの限界をも同時にこの作品は見せている。

 

■結論

まずは、このような作品が19世紀に登場していることに感心した。女性が女性を描くことが難しい時代に合って、女性作家たちは苦肉の策で、細い通路を進んできたのだ。日本でも樋口一葉が『たけくらべ』を書いた時、そこに初潮が来たという文字はない。検閲から逃れていかに女性の性を描くことができるか、もしくは自立を描くことができるかは女性作家にとって喫緊の課題だっただろう。

 

■結論の吟味

ギャスケルが労働者を対象にした理由、そして私的空間の中でメロドラマ化しなくてはいけなかった理由をおもんばかることは、女性の語り手たちが置かれている状況の寓意だ。その様子を当時の言説布置を踏まえて考察してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1木村晶子「エリザベス・ギャスケルの『メアリ・バートン』における語りの限界」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』22 2012

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