議論の整理・・・
現代は、誰もがカメラ付きの携帯電話を持ち歩き、インターネットで写真を世界中に発信することができる時代である。写真について現在法律で認められている権利は、写真家が撮影したものについての著作権と、写っている人物の肖像権がある。この2つは、19世紀から裁判の争点として挙げられており、時には一方が他方を否定しながら展開してきた。現代においてはそれら2つの権利は厳密に守られているというよりは、基本的に各人のリテラシーに対応が委ねられている。
問題発見・・・
今や写真は私たちの生活に深く根付いた文化となっている。しかし同時に多くの問題を引き起こしていることも無視できない。写真にまつわる権利は今後どのように保護されるべきなのか。
論証・・・
友人や自分の子供の写真をネットに掲載することや、写真の無断利用、機密情報流出、リベンジポルノ、盗撮など、写真に関しての問題はこれまでになく増えている。また、写真を扱う人間の心理もこれまでとは変化しているように感じられる。例えば、何か変化が起こった時にとっさにスマートフォンを構えてシャッターボタンを押すことが多くの人に習慣化している。写真映えのする食べ物や風景が増え、写真を撮ることに執着を見せる人が増える一方で、許可なく写真を撮られることに対しての不快感も強まっている。
そのような人々の感情を整理し、写真が持つ影響力を分析した上で、過去の裁判結果などを参照しつつ、写真というメディアの扱い方について、議論を深めていきたいと考えている。
結論・・・
上記について、イメージ分析に精通した橋本 一径教授のもとで研究を進めることを希望する。
橋本一径『イメージの権利――19世紀フランスにおける写真の著作権・肖像権』美学芸術学論集(9)p.27 – 37 2013年
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