議論の整理・・・
ジャック・デリダはフランスで活躍したポスト構造主義で代表的な哲学者である。彼が扱った代表的な思想の中に、「脱構築」がある。これは、哲学の営みを行うことで常に古い構造を破壊し、新たな構造を生成しているとするもの。例えば、西洋哲学は古代より二項対立を前提とした哲学の手法をとってきたが、その対立自体の成立を疑うのが脱構築的な手法である。二項対立は互いを否定し合うという性質ゆえに、互いを定義しあってもいる。脱構築はそこに含まれる無意識の矛盾を暴き出し、積極的な意義を見出す。
問題発見・・・
脱構築は様々な分野で応用され、現代美術にも少なからず影響を与えた。例えば建築において、建築を「人が合理的に住み良い場所」という既成概念があり、この合理性とは近代の主義であることが指摘される。そして行き詰まったモダニズムの閉塞感を打破するために、ポストモダンな美学に基づいた観念を具体的に提示することを目指す。多くの場合は脱構築という手法は単に、ある概念に対する異議申し立てや問い直しという意味で使われた。しかし少なくとも学問の世界を飛び出した日常世界で哲学の概念が活用されようとしていた。哲学は実生活の役に立たないというのが一般的な見解だが、脱構築は例外なのだろうか。
論証・・・
上記の研究を進めるために、まずはジャック・デリダの原典にあたり、ふさわしい解説書を活用することで正しくこの哲学的手法を理解したいと考えている。その上で、議論を深めるための適切なテーマを検討する。
結論・・・
貴学文化構想学部にてフランス現代思想に精通した藤本一勇教授のもとで上述の研究を進めることを希望する。
仲正昌樹・清家竜介・藤本一勇・北田暁大・毛利嘉孝『現代思想入門』PHPエディターズ・グループ2007年 02月-
コメントを残す