早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(甚野尚志ゼミ向け)

■議論の整理

宗教と政治の関係性を考えるのは人間的営為の特徴を理解するために重要な作業だ。従来であれば、宗教と政治を考える際、国家がいかに宗教を利用したかを考える側面が強い。日本の歴史の中で、鎮護国家として仏教をどのように利用したか。儒教をどのように利用して訓育したか。はたまたキリスト教を弾圧し、懐柔したか、などなど、枚挙にいとまはない。

 

■問題発見

宗教は人民の心を統一する重要な側面があり、それが国家的なプロジェクトとしてどのように利用されていったかを見る歴史は幾分か定着しているように見える。では、宗教が国家をどのように利用したか、そのような側面を考えることも重要であるだろう。

 

■論証

西洋の歴史の中でイエズス会が果たした役割は大きいが、イエズス会が暴君をどのように抑制しようとしたかを考察する研究が端緒についている※1。ファン・デ・マリアナがどのような政治思想を展開し、暴君放伐論を展開していったかを研究している論文によれば、過激である宗教思想が政治とどのように交渉したかを子細にたどることができる。

 

■結論

科学的な言説が隆盛になって久しいが、昔は宗教言説が力を持つ時代があったことは想像に難くなく、その中で、政治思想を展開していったかを分析することは重要だ。社会契約説が登場し、人々が啓蒙される前、人民がどのような価値観で政治をとらえていたか。私たちが忘れてしまっているだけで、そこには政治思想と宗教との密接な結びつきから発生する重要な思想の源泉があるかもしれない。

 

■結論の吟味

オカルト宗教が下火になって久しいが、一方で過激派によるテロが後を絶たない、グローバリズムに対抗するかのような土着的な思想が、過激な政治思想に転化しているのが今の世界情勢の第一の課題であるだろう。そこにヘイトスピーチやポストトゥルースの時代の到来だとみるのはたやすいが、その前に、政治と宗教が密接に結びついていた時代の宗教側の取り組みを再度精査し、考察してみることも有意義な作業だろう。以上のようなことを研究してみたいと考え、貴学への入学を希望する。

 

※1甚野尚志「イエズス界の政治思想と暴政の批判――ファン・デ・マリアナの暴君放伐論のとその中世的起源――」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』64 2019

 

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