早稲田大学 文学部 AO入試 志望理由書 提出例(山本聡美ゼミ向け)

■議論の整理

古典分野の研究には、翻刻という作業が欠かせない。くずし字や、当時の手書きの字体を、活字に直す作業である。また、諸本との異同を考えることも重要だ。底本とされているものは学会の定説としてあるものが定められているが、それでもその本が必ずしもすべて正しいという保証などどこにもないので、翻刻したもの同士をもちよって、どちらの方が正しい文章かどうかを見定めることも重要な作業の一つだ。

 

■問題発見

そこで、翻刻を新規学習者にどのように学習させていくのが効率が良いだろうか。文化の灯を絶やさないためにも、くずし字を読める人材は常に後代に受け継いでいかなければならないが、実際の翻刻作業として実物に近いものを使用して効果が上がっていると述べている研究がある※1。この研究によれば、共立女子大学図書館蔵の「竹取物語絵巻」や「利仁草紙」などの絵巻物とそこにかかれてある字と同時に読み、より臨場感のある状態で翻刻を学ぶというものだった。

 

■論証

翻刻はとても大事な作業だ。それらが、絵と同時に書かれることによって、より理解力が高まったり、文脈を追いながら、図像に合った文章に翻刻していくことが可能になるため、新規学習者にはうってつけいの教材であるし、もしくは、ICT教育が叫ばれている中、このようなオンラインで公開している画像をもとにした実物の古典を学習するという方法を国語教育の中で展開してみても面白いかもしれない。

 

■結論

国語教育が高大接続改革を受け、学習指導要領が改訂され、実施されることが予告されている。こと国語に関しては、論理国語と文学国語というジャンル編成がなされ、従来であれば古典単元でしか扱えなかったものも、文学国語の中で近現代以降の文章と同時に並列化して教えることが可能になった。

 

■結論の吟味

以上のような視点を踏まえても、より効果的な文学指導をおこなってもよいと私は考える。無味乾燥な活字の文字ではなく、たおやかなくずし字の中で文学を読み進めることの楽しさを同時に味わうことができれば、文化の灯も絶えないで済むのではないだろうか。古典と教育との関係をより深く考えたいと思い、貴学への入学を希望する。

 

※1山本聡美「共立女子大学図書館所蔵絵巻の基礎的研究:「竹取物語絵巻」「利仁草紙」「異疾之巻物(病草氏摸本)」「鳥羽絵巻物(鳥獣戯画摸本)」」『共立女子大学・共立女子短期大学総合文化研究所紀要』(24) 2018

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