上智大学 文学部哲学科 AO入試 長町裕司ゼミ向け

  • 議論の整理

現代というニヒリズムの時代において、もはや神的な要素に意義を見出すことは難しいのかもしれない。近代の西洋哲学は理性を肯定する方向へ進歩していったが、理性の肯定を目指せば目指すほど理性が否定されてしまうという自家撞着に陥ってしまっている。これこそが近代西洋哲学の限界であり、現代の哲学はいわばそれを克服する為に研究されているといってよい。そして、西谷をはじめとする京都学派の哲学者はこの限界を超克する手段として神秘主義に可能性を見出した。

  • 問題発見

エックハルトの神秘思想に端を発するドイツ神秘主義は、内なる魂の根底に神を見出すことを求める。それは合理的な宗教理解によって断絶した人間と自然との関係を別の角度からとらえ直すことを要請する。つまり、神秘主義では自然と人間の対立という次元を超えた「魂」や「生命」などの内的世界に注目するのである。そして、後藤は西谷の神秘主義理解において、彼があらゆる宗教のうちにこの神秘主義の源泉を見出していたことを指摘する。それでは、それぞれの宗教における神秘主義を横断的に分析できないだろうか。

  • 論証

西谷は神秘主義体験を大乗仏教や禅仏教にも見出し、そこにニヒリズムの超克の可能性を見たが、これは彼が日本人であったことと無関係ではないだろう。彼の思想の環境要因を取り除き、これを一般論へと昇華させる為に西谷と同様の思想を持った異なる地域の哲学者の思想を検討することを行いたい。先述の後藤の論文に示されていたのは、ヨナスとショーレムであった為、主に彼らの思想を中心に見ていきたい。

  • 結論

この研究を通じて、現代哲学が抱える諸問題に新しい観点から切り込んでいく態度を養いたいと考えている。

  • 結論の吟味

上記研究を行うにあたって、これまで貴学において主にドイツ哲学をテーマに宗教学分野で活躍されてきた長町教授のもとで学ぶことを強く希望する。

参考文献

後藤正英 (2005) 「京都学派の神秘主義研究の意義はどこにあるのか ―― 西谷啓治の神秘主義理解を中心に」『国際宗教学宗教史会議世界大会』50-58

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