- 議論の整理
18世紀のアメリカにおける最も主要な宗教運動と称される第一次大覚醒運動は、その熱狂主義的要素に反して高度に統率された活動であった。その理由は先導者たるエドワーズとホイットフィールドが正統主義に関する確かな理解を備えていたからであると論じられている。彼らの交流によってリバイバルが成功したことを考えると、18世紀アメリカキリスト教史を論じる上で両指導者の辿った足跡を追うことは不可欠である。彼らの宗教的スタンスの共通点としては、カルヴァン主義を重んじる点が挙げられる。
- 問題発見
そもそも当時の北アメリカにおける宣教は多様性を特徴とし、プロテスタントを主流としながらも様々なグループに分かれていた。それはヨーロッパで勃興した新しいキリスト教諸派が新大陸に自らの支持基盤を築こうとしたからであった。このような会派は正統主義の分派であり、その背景にはすでに確立され体系化されてしまった正統主義への反発があった。それでは、エドワーズとホイットフィールドのカルヴァン主義は混沌とした大西洋宣教情勢の中でどのようにして受容されていったのだろうか。
- 論証
増井教授の論によれば、リバイバルにおけるエドワーズの目的は家庭生活を重んじる福音主義を若者たちに伝道することであった。若者たちの生き方の指針としての聖書を重視する彼の教義は実践的であり、個人の生き方に影響を与えるものであった。私はこの個別の生への働きかけという点において、体系的正統主義に反発した敬虔主義との共通項が存在すると考えている。つまり、理性という実体の掴みにくい概念よりも個人の体験や感情を重視する教義の方が受け入れられやすかったのではないかと考える。そこで、本研究ではエドワーズの福音主義と敬虔主義との比較を通じて北アメリカにおける宣教の歴史を考察したい。
- 結論
上記研究を行うにあたって、これまで貴学において主に初期アメリカの宗教史について数多くの論文を執筆してきた増井教授のもとで学ぶことを強く希望する。
参考文献
増井志津代 (2018) 「18世紀大西洋世界における福音主義文化の醸成」『アメリカ・カナダ研究』35, 3-23
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