2020年 上智大学帰国全学科 法学部・国際関係法学科 小論文 解答例

議論の整理(要約)

この文章では、世界の国々が国益を優先することで、リベラルな国際秩序が崩壊する可能性について論じている。トランプ大統領は就任演説ですべての国は国益を優先する権利を持っていると述べた。この発言は、アメリカが世界の警察官であることをやめ、国益の追求に方向転換することの表明でもある。各国が国益を追求することは、当たり前のことである。安倍政権も同様に、国益について言及しているが、「国際秩序」と「国益」を両立させる内容となっている。

問題発見

「国際秩序」と「国益」の両立させることは可能なのだろうか。世界で叫ばれている国益とは、そもそも何なのだろうか。

論証

トランプ政権は、アメリカは国際秩序を守るために国益を犠牲にしてきたという趣旨の発言をしている。ヨーロッパ諸国も、国益を追求する流れのなかで、ナショナリズムの台頭が目立ってきている。つまり大部分の国は、国益を追求するために、国際秩序を守るための行動を切り離す決断をしたのである。

アメリカが、世界の警察官というポジションを捨てた今、国際秩序をコントロールする大国は不在となっている。その代わりに中国やロシアが新たな世界の警察官となることを狙っている。そのような流れのなかで安倍政権は、「国際秩序」と「国益」の両立されることを表明したが、その意図は世界の警察官となることにはない。

この表明は、国際秩序が守られれば、結果として国益につながるという趣旨なのだろうと私は解釈した。ただ、日本にとっても国益とは何かを明確にしないと、どのように国際秩序を守るのかも不明となる。日本は、何も表明していないのと同じなのである。

結論

そこで私は、まずは、複雑な国際関係を切り離して、日本にとって純粋な国益とは何かを考えるべきである。そのうえで、日本が目指すべき国際関係や世界全体の秩序のあり方を明確にしていくことで、日本の立場をはっきりさせられると考える。

吟味

国益とナショナリズムが混同しないように、ナショナリズムとは何かも、同時に考える必要があるだろう。(848文字)

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