上智大学 文学部 史学科 海外就学経験者入試 2016年 小論文 解答例

問1

■設問

下線(い、ろ、は、に、ほ)の、漢字の読みを書きなさい。

■答案

(い)ひんぱん (ろ)へんきょう (は)しっこく (に)ちょうはつ (ほ)こうこ

 

問2

■設問

下線(へ、ト、チ、リ、ヌ)の、ひらがなを漢字に直しなさい。

■答案

(ヘ)炊飯器 (ト)閉塞感 (チ)自虐 (リ)自己陶酔 (ヌ)自画自賛

 

問3

■設問

下戦を施した(A)の部分について、その見解につき、自分の「賛成」、「反対」の立場を明確にして、意見を300字以上で述べなさい。

■答案構成

議論の整理 → 先の戦争で日本はアジア諸国に「恩恵」をもたらしたという見解

問題発見 → こうした意見の妥当性

結論・論証 → 「恩恵」は日本の行為の目的ではなく、結果としての副産物である

結論の吟味 → こうした見解は妥当とはいえない

■答案

議論の整理 → 先の戦争で日本はアジア諸国に「恩恵」をもたらしたという見解

先の戦争をめぐり、日本はアジア諸国に対して「恩恵」をもたらしたという「過去褒め」が目立つ。その「恩恵」とは、欧米の植民地支配からの独立や日本統治時代の教育、インフラ整備などである。

問題発見 → こうした意見の妥当性

ここで、そうした見解の是非が問題になる。

結論・論証 → 「恩恵」は日本の行為の目的ではなく、結果としての副産物である

私はこのような見解に反対の立場をとる。確かに、上述のような「恩恵」がもたらされたことは事実である。しかし、それはあくまで結果としての副産物であって、目的ではなかった。日本の目的はあくまでも自国の利益追求であり、そのためにアジア諸国に侵攻し、自国の都合によって現地を開発し、同化政策を行ったのである。日本は現地を占領し、現地の人々の自由を奪い、多大な苦痛を強いた。そのような行為は、上述のような「恩恵」で償えるような類のものではない。

結論の吟味 → こうした見解は妥当とはいえない

よって、副産物である「恩恵」ばかりに目を向ける「過去褒め」は妥当とはいえない。

(365字)

先の戦争をめぐり、日本はアジア諸国に対して「恩恵」をもたらしたという「過去褒め」が目立つ。その「恩恵」とは、欧米の植民地支配からの独立や日本統治時代の教育、インフラ整備などである。

ここで、そうした見解の是非が問題になる。

私はこのような見解に反対の立場をとる。確かに、上述のような「恩恵」がもたらされたことは事実である。しかし、それはあくまで結果としての副産物であって、目的ではなかった。日本の目的はあくまでも自国の利益追求であり、そのためにアジア諸国に侵攻し、自国の都合によって現地を開発し、同化政策を行ったのである。日本は現地を占領し、現地の人々の自由を奪い、多大な苦痛を強いた。そのような行為は、上述のような「恩恵」で償えるような類のものではない。

よって、副産物である「恩恵」ばかりに目を向ける「過去褒め」は妥当とはいえない。

(365字)

 

問4

■設問

下戦を施した(B)の部分について、「自分を縛っているものから自由にもなれる」とはどういうことを言っているのか。具体的な歴史事例ないし現代の時事問題をあげて、400字以上で論じなさい。

■答案構成

論理の整理 → 外の世界に目を向ければ「自分を縛っているものからも自由になれる」という意見

問題発見 → 「自分を縛っているものからも自由になれる」とは?

論証1(結論・抽象的な論拠)→ 固定概念や一面的価値観、自己完結的な世界観からの解放

論証2(具体的な論拠)→ 日本における技能実習生制度と外国における移民政策

結論の吟味 → 論証1で示した結論の吟味

■答案

論理の整理 → 外の世界に目を向ければ「自分を縛っているものからも自由になれるはずだ」という意見

東島教授は、外の世界をよく見れば、「日本スゴイ」といった自己陶酔とは異なる見方に気付き、「自分を縛っているものからも自由になれるはずだ」と述べている。

問題発見 → 「自分を縛っているものからも自由になれるはずだ」とは?

では、この「自分を縛っているものからも自由になれる」とはどのようなことを言っているのだろうか。

論証1(結論・抽象的な論拠)→ 固定概念や一面的価値観、自己完結的な世界観からの解放

それは、自国や自分自身に対する固定概念や一面的な価値観、ひいては自己完結的な世界観から解放されるということを表していると考える。なぜなら、外の世界に飛び出しそこに身を置くこと、あるいは外の世界に目を向けることにより、多様な視点や価値観に気付き、それらを基にものごとを適切に判断することができるようになるからである。

論証2(具体的な論拠)→ 日本における技能実習生制度と外国における移民政策

ここで、日本における技能実習生制度を例にこの問題を論じる。この制度は開発途上国などの外国人を日本に受け入れて技能を学んでもらうというものである。その目的は、名目上は国際貢献であるが、実質的には低コストで日本の労働力不足を補う手段となっている。しかも最長受け入れ期間は3年で、彼らの一時帰国や長期滞在を認めない。

一方、外に目を向けると、フランスやドイツなどのように、移民政策を講じ、外国人労働者を自国民として積極的に受け入れている国もある。もちろん、移民政策は危険や困難を伴うもので、実際に問題も生じている。しかし、こうした移民政策は、労働者を労働者として受け入れ、その身分を保証することにより、現在日本が直面している人口減少問題を解決する手段としても有効に機能しているのである。

結論の吟味 → 論証1で示した結論の吟味

このように国外にも目を向け、そこから様々な視点を得ることは、自国を正しく評価し、適切な判断をするのに欠かせない。(677文字)

東島教授は、外の世界をよく見れば、「日本スゴイ」といった自己陶酔とは異なる見方に気付き、「自分を縛っているものからも自由になれるはずだ」と述べている。

では、この「自分を縛っているものからも自由になれるはずだ」とはどのようなことを言っているのだろうか。

それは、自国や自分自身に対する固定概念や一面的な価値観、ひいては自己完結的な世界観から解放されるということを表していると考える。なぜなら、外の世界に飛び出しそこに身を置くこと、あるいは外の世界に目を向けることにより、多様な視点や価値観に気付き、それらを基にものごとを適切に判断することができるようになるからである。

ここで、日本における技能実習生制度を例にこの問題を論じる。この制度は開発途上国などの外国人を日本に受け入れて技能を学んでもらうというものである。その目的は、名目上は国際貢献であるが、実質的には低コストで日本の労働力不足を補う手段となっている。しかも最長受け入れ期間は3年で、彼らの一時帰国や長期滞在を認めない。

一方、外に目を向けると、フランスやドイツなどのように、移民政策を講じ、外国人労働者を自国民として積極的に受け入れている国もある。もちろん、移民政策は危険や困難を伴うもので、実際に問題も生じている。しかし、こうした移民政策は、労働者を労働者として受け入れ、その身分を保証することにより、現在日本が直面している人口減少問題を解決する手段としても有効に機能しているのである。

このように国外にも目を向け、そこから様々な視点を得ることは、自国を正しく評価し、適切な判断をするのに欠かせない。(677字)

 

問5

■設問

次に掲げる語句の中から、3つを選び簡潔に答えなさい。

■答案

・ニケーア公会議:325年、ローマ帝国の皇帝コンスタンティヌスが主催した公会議で、キリスト教教義を決定する最高会議である。この会議の重要性は、キリスト教の最初の正統教義を決定したことにある。なお、ニケーニアとは、会議が開催された小アジア西部の都市(現在はトルコ領)の名前である。

・三国干渉:1895年にフランス、ドイツ帝国、ロシア帝国の3国が日本に対して行った勧告を指す。日清戦争に勝利した日本は、清と下関条約を締結した。その下関条約によって遼東半島は日本に割譲されたが、この勧告は同半島を清に返還することを求める内容であった。列強の脅威にさらされた日本政府はこの勧告を受諾し、これを契機に日本は軍備拡張を進めることとなった。

・徳川慶喜:江戸幕府第15代征夷大将軍であった。江戸時代最後の将軍であり、日本史上最後の征夷大将軍でもある。1867年に大政奉還を、1868年に江戸開城を行った。

 

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