2020年 上智大学公募推薦入学 文学部・哲学科 小論文 解答例

議論の整理(要約)

現代社会では、哲学が存在しなくても生きていける、生活できると考えられがちである。また、混迷を極める現代社会のなかで、人々は哲学に明確な答えを求める傾向もある。先が見えない社会だからこそ、生きる意味、幸福の意味、歴史の意味を哲学に期待する。しかしながら哲学は、自問自答しながら深く思索する学問であるため、明確な答えに行きつかないことも多い。そのため、結論に行きつかない議論をする学問だと言われることもある。

問題発見

哲学の現状について述べたこの文章のなかで、筆者は何を問題としているのだろうか。

論証

この文章のなかで筆者はまず、結論を導き出すための議論だけが重要なのかを問題としている。最近の日本の学校教育では、社会をとりまく問題を発見し、それを解決するための方法を導き出す議論が重要視されている。もちろん、直面している問題に対して、答えを見つけることは大切である。それができないと、具体的な行動を起こせなかったり、技術を開発できなかったりするからである。

このような社会の流れを受けて、多くの人が明確な答えがある学問に意義を見出すようになり、哲学もそうした期待にさらされている。しかし、哲学の本質的な問いである、生きる、幸福、歴史という問題には、明快な答えがあるわけではない。大切なことは、それらについて問い続けることである。

人間や社会の問題は、壮大かつ流動的なものである。人間の思考でつかみ取れるものではない。哲学は、それをあえて問い続ける学問である。答えがない問題に向き合うことで、生きることや幸せになることの意味を感じ取れるようになることを、筆者は訴えている。

結論

結論を導き出すのではなく、答えがない問いに向き合う学問も重視する。それにより、変化の激しい社会のなかで生きぬく力を備えられることを、筆者は伝えていると考えた。

吟味

学校教育のなかで、ふたつの議論の方法を共存させるために、哲学的な問いについて議論する方法も考えてみたいと思った。(828文字)

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