上智大学 総合人間科学部 教育学科 公募制推薦入試 2017年 小論文 解答例

設問

現在、世界各地で大きな話題となってきている、移民や難民の受け入れと、その教育的処遇をめぐる問題について、あなたの考えを述べなさい。

議論の整理→移民や難民の受け入れの問題と教育

2017年、世界の難民数が過去最高の6850万人になった。そのような情勢下、ドイツのメルケル首相が難民受け入れを積極的に行うと宣言して大きな注目を集めた。しかしその年、難民による暴力事件が複数発生したことで、難民や移民受け入れに対する反発が起き、国民主義的な気運が各国に広がってしまった。移民や難民が受け入れ国に順応するためには、彼らに対する教育をどのように行うかということが非常に重要であると考える。

問題発見→互いを尊重できる教育とは何か

では移民や難民の権利を尊重しつつも、受け入れ国の文化やルールも尊重し、共生できる社会を作るためには、どのような教育が可能だろうか。

論証→ドイツで行われてきた教育

そこで1960年代から外国人労働者を受け入れており、移民に対する教育を重視しているドイツを例に見てみたい。ドイツは戦後の労働力不足のため、トルコやイタリアなど各国から外国人労働者を受け入れてきた。数年で母国に帰国すると考えられていた彼らの多くはドイツにとどまったため、ドイツ政府は移民の児童らにドイツ語や文化を一方的に教えこむ、いわば「ドイツ化教育」を行った。はじめはうまくいくと思われていた「ドイツ化教育」だが、移民の児童の多くの母国語能力が低下し、両親との隔絶を招いてしまう結果となった。そこで重視されたのが、移民の児童が持つ文化を尊重しつつ、ドイツのルールや文化を教える教育である。キリスト教やドイツ語についての授業がある一方で、移民や難民の児童が自分の両親の出身国を紹介したり、言語を披露したり、料理教室を行ったりする。これにより、移民や難民が一方的に受け入れ国の文化や規範を学ぶのではなく、受け入れ国も移民や難民から学ぶことで、互いに相手を尊重する姿勢が作られるようになった。

解決策or結論→相互から学びあう教育の重要性

このように、一方的に受け入れ国側が自分たちの価値基準を教えるのではなく、互いに学びあう教育を行うことが重要ではないかと考える、

解決策or結論の吟味→結論を吟味する

現在のドイツでは移民3世や4世が住んでおり、さらに受け入れた難民やその児童も多数ドイツに居住している。問題は多いが、ドイツは移民受け入れの歴史から、学校現場で互いを尊重しあう教育を行っている。そしてそのような教育こそが、対等な人間として共生できる社会を作ることを可能にすると考える。(994文字)

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