設問
「ポリフォニー的世界をとらえる」ことの困難とその意義について、大学で外国語、文学、文化を学ぶことと関連付けながら、600~800字で論じよ。
議論の整理→「ポリフォニー的世界をとらえること」の意味
課題文にあるように、自分を軸にした物語を聞くこと、言い換えれば自分の価値基準で物事を判断することは、容易なことである。そして同時に、他者の物語を聞くこと、つまり他者の考えや価値観を理解することは困難である。しかし社会は多くの人間で成り立っている以上、他者の声に耳を傾ける必要がある。そうしないと自分の考えを絶対視し、違う考えや価値観を排斥してしまうことに繋がりかねないからだ。
問題発見→他者が主人公の物語を聞くにはどうしたらよいか?
では、自分が主人公でありながら、他者が主人公の物語を聞くにはどうしたらよいだろうか。
論証→文学部での学びと他者理解
私は、それは大学の文学部が提供する学びに大きく関係していると考える。つまり、外国語や文学、文化を学ぶということに共通しているのは「他者を理解する態度を醸成する姿勢」ではないだろうか。たとえば外国語を学ぶことで、それまで未知であった人や文化を知るツールを手に入れることができる。また多くの人物が登場する文学を学ぶことで、一つの物事をじつにさまざまな角度から捉えることができるようになる。色々な国や地域の文化を知ることで、その場所や人間の歴史や特徴を知り理解できるようになる。
解決策or結論→文学部の学びは、他者を理解することに繋がる
これらの学びは全て、自分の価値観を見つめなおし、他者の存在に気付き、相手を理解しようとする態度につながるのではないだろうか。
解決策or結論の吟味→結論を吟味する
たしかに「ポリフォニー的世界をとらえる」ことは難しい。二つの悲惨な大戦の反省を経た現在ですら、ナショナリズムが世界各地で高揚していることを鑑みても、他者の物語を理解することは極めて難しいのだと思う。しかし同時に、自分以外の人間の考えや感情に耳を傾けることで、自らの世界も豊かに広がっていくだろう。その意味でポリフォニー的世界は多くの可能性に満ちているともいえる。そして絶対的な価値基準が存在しない、ということを学べるのが、大学の文学部であると思う。
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