上智大学 総合人間科学部 社会学科 外国人入試 2018年 小論文 解答例

設問

あなたが生まれ育った国の現在の①政治・経済問題、②社会・文化問題について記述し、それぞれの問題の解決策について簡潔に説明しなさい(800字以内)。

議論の整理→ドイツの政治・経済問題の整理

1.ドイツの政治・経済問題について
ドイツはEUの中で最も経済が好調だが、国内の所得格差が問題となっている。

問題発見→所得格差の拡大

ドイツは2000年代前半に労働市場の改革を行い、「欧州の病人」と呼ばれる状態から脱却したものの、その影響からドイツ国内での所得格差が増大し貧困層が増えた。

論証→低い失業率とミニ・ジョブ

現在のドイツの失業率は東西統一後、最も低い状態であるが、それはミニ・ジョブと呼ばれる低賃金雇用形態が増加したからでもある。ミニ・ジョブでは月収450ユーロ程度の収入しか得られないため、生活が困難である。

解決策or結論→広がる格差と見つからない解決策

ドイツ国内の所得格差に対しては、政府による州間での所得再分配などが議論されているものの、有効的な打開策は決まっておらず、国民の間で不満が募っている。

議論の整理→ドイツの社会・文化問題の整理

2.ドイツの社会・文化問題
ドイツが抱える社会・文化的問題で最も顕著なのは、難民・移民問題である。ドイツは1970年代から労働力不足による移民受け入れを積極的に実施しており、さらに2015年に約80万人の難民を受け入れた。現在、人口の25%近くが移民背景を持つという統計もあるように、ドイツには多様なバックグラウンドをもつ人間が居住していることがわかる。

問題発見→イスラム教徒との共生

その中で問題となっているのが、イスラム教徒との共生である。彼らの多くはドイツ語や文化を理解せず、一部の地域でゲットー化して暮らしている状態にある。

論証→ドイツ社会への適合の難しさ

移民や難民の親がドイツ語を理解できないため、子どもたちは教育や医療から遠のき、学歴差や収入格差につながっている。また、そのような移民・難民を快く思わないドイツ国内では極右政党が議席を伸ばすなど、不穏な様子を見せている。

解決策or結論→移民・難民を社会に受け入れる策

これに対しては、移民や難民に対してドイツ語と文化を学ぶコースを提供したり、各地域にコミュニティセンターを設けることを通じて改善が図られている。

解決策or結論の吟味→結論を吟味する

ドイツをはじめEUが抱える政治・経済的、社会・文化的問題は、一国で解決できる問題ではない。自国利益ではなく、全体の利益のために協調する必要が今こそあると感じる。(799字)

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