2020年 上智大学カトリック高等学校対象特別入学試験 文学部・ドイツ文学科 小論文 解答例

議論の整理(要約)

この文章では、異なる文化が出会ったときに生じるせめぎあいを、どのように捉えていけばいいのかを論じている。帝国主義時代のヨーロッパは、被支配国の文化を母国に持ち帰り、それを支配者のまなざしにより鑑賞した。支配/被支配の関係ではなくても、寿司の食べ方のように、正しい/正しくないという見方も投影される。しかしながら文化というのは、常に変容しながら新しいものを生み出す、文化コミュニケーションの場であると筆者は定義している。

問題発見

異なる文化が接触したとき、どのような問題が起こりうるのか、そして、どのような可能性があるのだろうか。

論証

現在の世界はグローバル化が進んでいることもあり、地理的に離れたところにある文化に接することが容易になった。インターネット情報をもとに、他国の伝統的なファッションや食文化を、自分なりの感覚ですぐに取り入れることができる。そのため、世界各国に日本食レストランが存在するが、日本に行ったことがない人が、独自にメニューを開発していることも少なくない。

そのレストランが質の高い料理を提供していれば、必ずしも正統派の日本料理を提供していなくても日本にとってプラスになる。しかしながら、質があまりにも悪いと、日本のマイナスイメージが広がってしまうという問題が発生する。そのようなとき、現地の日本食レストランを批判するのではなく、それにより広がった関心を、上手く活用して自国のチャンスを広げるほうがいいと考える。

結論

大切なことは、ローカライズされた文化を認めつつ、自国の文化を発信することである。そして、ふたつに明確な境界線を引かずに、双方に利益をもたらす共存関係を築くことである。

吟味

正統派の和食を提供するお店を現地に出しても、それを受容できるのは富裕層などの一部となる。文化の問題だけを切り離して考えることはできない。ビジネス的な視点も踏まえて、自国の文化を発信する方法も、これから考えていく必要があると感じている。(826文字)

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