議論の整理……
日常生活のなかでステレオタイプ化が問題になることが多々あります。そのひとつがお笑いのコントです。コントでは、「ヲタクの男性」「ゲイの男性」「太った女性」「モテない女性」などを、服装、かつら、メイク、しぐさ、話し方などを通じて分かりやすく表現します。男性が女性の役を演じることも珍しくありません。おもしろおかしく演じるために誇張しすぎたことで、当事者から批判が出ることもあるほどです。
問題発見……
課題文によると、ステレオタイプはまったくの空想ではなく、何らかの経験があるからこそ、そのようなイメージがつくられています。日本では、アメリカ人といえば大げさに「オー・マイ・ガー」と叫ぶのがお決まりで、中国人というと「大声でしゃべりマナーを守らない」ステレオタイプが定着しています。現代のステレオタイプは、メディアを通じた経験からつくれており、それが異文化理解を妨げていると考えます。
論証……
ステレオタイプで笑わせるだけならいいのですが、それにより、特定の国の印象が悪くなることも少なくありません。そこで、ステレオタイプを克服して異文化理解を実現するためにはふたつが必要です。ひとつはメディアを読み解く力を身につけること。もうひとつは生の情報に触れることです。メディアのステレオタイプをすべて排除することはできませんが、観る人が区別することはできます。そして、人や物と直接触れることで、ステレオタイプに縛られない思考を身につけられます。
結論……
私たちは、テレビ、映画、インターネットなどを通じて、日本にいながらにして異文化に触れることができますが、それらは必ずしも中立ではありません。この国民を「よく見せたい」「悪く見せたい」「面白く見せたい」など、いろいろな意図があります。
吟味……
ステレオタイプの原因になるものをすべて排除すると、私たちは何の情報も娯楽も得られなくなります。情報はある程度ステレオタイプ化されていることを理解し、偏見や差別につながるものを選び出すほうが効果的であると考えます。(826文字)
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