「上智大学 総合人間科学部 社会福祉学科 カトリック高等学校特別入試 2018年 小論文 解答例」

■設問

次の3つの問いについて、合わせて1200字で答えなさい。

「格差社会」ということを最近耳にします。日本のみならず先進諸国に共通する問題となっています。第一に、先進諸国に共通して格差社会がなぜ発生するのか、そのメカニズムを考え、説明しなさい。第二に、格差社会によってその社会の成員(国民)はどのような意識を持つにいたるか、社会への影響を述べなさい。第三に、そのような格差社会に対して、社会の取り組み、国の取り組み、社会保障・社会福祉の取り組みなどとして、どのようなことが行われ、また、行われるべきか論じなさい。

■答案構成

5STEPで書く

議論の整理→ 格差社会の定義、問題

問題発見→ 格差社会に対する国や社会の取り組みはどうすればよいか。

論証→ 先進国で格差社会が共通して起きる原因や、格差社会による構成員の意識の変化

解決策or結論→ 下の階層に落ちた人たちの労働意欲をそがないようにする

解決策or結論の吟味→ 企業の利益が落ちる

■回答

議論の整理→ 格差社会の定義、問題

格差社会とは、収入や財産によって人間社会の構成員に階層化が生じた社会である。格差社会では、一度下の階層に位置してしまうと上の階層への移動が難しくなるといった特徴がある。また、下の階層の人は、生活を維持することもままならないほどの困窮に直面することも多々ある。

問題発見→ 格差社会に対する国や社会の取り組みはどうすればよいか。

このような格差社会に対して、社会や国の取り組み、社会保障・社会福祉の取り組みなどとして、どのようなことが行われるべきか論じようと思う。

論証→ 先進国で格差社会が共通して起きる原因や、格差社会による構成員の意識の変化

まず、先進諸国に共通してなぜ格差社会が発生するのかという点ですが、先進諸国では、企業がその技術力や競争力を生かして、利益を生みだしています。そして、多くの企業が利益を多く生み出すために、コストの削減に力を入れます。コストの大部分は人件費ですので、人件費を削減するために、リストラや非正規雇用を増やすという手段を選びます。こうして、無職の人や正社員より低賃金の非正規社員が多く生まれ、そうした低賃金の人たちと正社員の間に、給料の格差が生じるようになるのです。格差社会になると、低賃金労働者などの下の階層の人は、労働への意欲が薄れることとなります。頑張って働いても正社員よりも給料が貰えないためです。企業は有能以外はどんどん首を切って生産性をあげようとしますから、一度リストラにあった人は中々、次の就職先さえ見つからない、見つかったとしても元の会社より待遇が低いといったことが起こります。こうした現状が続くと、諦めの気持ちが大きくなり、上の階層に戻ってやるという意欲が無くなり、現状に甘んじてしまうのです。また、親が低収入だと子どもも低収入に陥ってしまう可能性が高くなります。教育にかけるお金が足りないからです。つまり、一度低所得者になったら抜け出せないという、階層の固定化が起きるわけです。

解決策or結論→ 下の階層に落ちた人たちの労働意欲をそがないようにする

こうした状況を考慮して、国や社会が行うべき取り組みは、下の階層となった人たちが労働の意欲を取り戻しやすい制度を構築することだ。例えば、最低賃金の上昇などである。日本の社会では、都道府県ごとに最低賃金が定められていて、フリーターやアルバイトの給料も最低賃金以上の水準にする必要がある。しかし、この最低賃金は、だいたい時間あたり1,000円に満たないというかなりの低賃金である。この低賃金の額を上昇することで、正社員の給料とあまり差が出ない水準に保つのである。これなら、非正規労働者でも賃金の低下が起こらないので、労働の意欲の低下に歯止めをかけることができる。

解決策or結論の吟味→ 企業の利益が落ちる

そんなことしたら企業の利益が上がらないのではないかと言う人もいるだろうが、今の日本社会は先進化が限界に達してきた段階といえる。いま一度立ち止まり、先進化社会の弊害ともいうべき格差社会の是正に、国を挙げて取り組むべきなのではないだるか。

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