上智大学  法学部 地球環境法学科 海外就学経験者入試 2017年 小論文 解答例

■設問

2013年6月富士山が世界文化遺産に登録された。その際に、イコモス(ICOMS)から、富士山の登録にあたり複数の指摘を受け、2016年2月1日までに保全状況報告書の提出を求められている。富士山の環境をどのように保全すればよいか、別紙・参考資料の**新聞記事を参考にしながら、あなたの考えを800字以内で述べなさい。

イコモス(ICOMS)とは、国際記念物遺跡会議(International Council on Monuments and Sites)のことで、文化遺産保護に関わる国際的な非政府組織(NGO)をいう。イコモスの活動の一つに世界遺産登録の審査がある。

**出典:日本経済新聞2015年6月8日朝刊

■答案構成

問題発見 → 富士山の環境保全の方法

論証1・結論1 → 全体的な方向性:環境と観光のバランス

論証2・結論2 → 来訪者数の抑制とその方法

論証3・結論3 → 環境保全のための研究、技術開発

論証4・結論4 → 安全面での保全

論証5・結論5 → 包括的な取り組み、緻密な計画と確実な実行

■答案

問題発見 → 富士山の環境保全の方法

富士山の環境保全はどのように行うべきであろうか。

論証1・結論1 → 全体的な方向性:環境と観光のバランス

全体的にみると、環境と観光のバランスをとることが重要だと考える。参考資料の新聞記事には「環境か観光か」という見出しがあるが、これらは二者択一的なものではないと思うからである。富士山が広く親しまれてきたのは、その美しい自然の景観によるだけではない。富士山は古来、神仙思想の対象でもあったし、世界遺産登録以前から観光やリクリエーションの場としても親しまれてきた。富士山の周辺には観光を生業とする人々も多く存在するのである。

論証2・結論2 → 来訪者数の抑制とその方法

しかし、世界遺産登録を契機として登山者など来訪者の増加が見込まれる。来訪者の数が爆発的に増加すれば、大切な自然環境が破壊されてしまう。自然環境保全のためには、来訪者数を抑制することが必要である。そのためには、現行のようなマイカー規制や入山料徴収だけでは不十分だと思う。新聞記事にあるように、鉄道の導入やGPSの活用も効果的だと思うが、新しい科学技術を生かしてGPSとAIを組み合わせて使えば、かなりの精度で来訪者数を予測することができるだろう。そうすれば来訪者の数を管理することが容易になる筈だ。

論証3・結論3 → 環境保全のための研究、技術開発

次に、環境保全のための研究や技術開発が必要であると考える。もちろん、山岳環境に関しては既に研究の蓄積があると思うが、富士山には富士山独自の特質がある。したがってこれまでの研究成果をふまえつつ、富士山のみを対象とした研究を推進し技術を開発して、それらを環境保全に生かすべきだと考える。

論証4・結論4 → 安全面での保全

さらに、安全面での管理にも取り組むべきである。御嶽山の噴火とその被害を教訓として、万が一の場合に備え、防災にも力を入れるべきである。その際にも上述の研究が役立つだろう。

論証5・結論5 → 包括的な取り組み、緻密な計画と確実な実行

最後に、以上のようなさまざまな管理を別個に行うのではなく、包括的に関連させつつ行うことが大切である。また、具体的な数値目標を設定して、緻密な計画を立て、それを確実に実行することが望まれる。(800字)

 

富士山の環境保全はどのように行うべきであろうか。

全体的にみると、環境と観光のバランスをとることが重要だと考える。参考資料の新聞記事には「環境か観光か」という見出しがあるが、これらは二者択一的なものではないと思うからである。富士山が広く親しまれてきたのは、その美しい自然の景観によるだけではない。富士山は古来、神仙思想の対象でもあったし、世界遺産登録以前から観光やリクリエーションの場としても親しまれてきた。富士山の周辺には観光を生業とする人々も多く存在するのである。

しかし、世界遺産登録を契機として登山者など来訪者の増加が見込まれる。来訪者の数が爆発的に増加すれば、大切な自然環境が破壊されてしまう。自然環境保全のためには、来訪者数を抑制することが必要である。そのためには、現行のようなマイカー規制や入山料徴収だけでは不十分だと思う。新聞記事にあるように、鉄道の導入やGPSの活用も効果的だと思うが、新しい科学技術を生かしてGPSとAIを組み合わせて使えば、かなりの精度で来訪者数を予測することができるだろう。そうすれば来訪者の数を管理することが容易になる筈だ。

次に、環境保全のための研究や技術開発が必要であると考える。もちろん、山岳環境に関しては既に研究の蓄積があると思うが、富士山には富士山独自の特質がある。したがってこれまでの研究成果をふまえつつ、富士山のみを対象とした研究を推進し技術を開発して、それらを環境保全に生かすべきだと考える。

さらに、安全面での管理にも取り組むべきである。御嶽山の噴火とその被害を教訓として、万が一の場合に備え、防災にも力を入れるべきである。その際にも上述の研究が役立つだろう。

最後に、以上のようなさまざまな管理を別個に行うのではなく、包括的に関連させつつ行うことが大切である。また、具体的な数値目標を設定して、緻密な計画を立て、それを確実に実行することが望まれる。(800字)

 

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