■ 議論の整理
学習意欲や学習行動の問題に影響を与える要因は、知的能力や努力、性格、学習内容に対する認知といった個人的要因、親の経済状況といった社会的要因、教師や学校資源といった環境要因など、様々な分野や観点から調査・研究がなされている。どれも重要な示唆を与えてくれるものだが、実際の教育の場面においては、本人や教師の努力では解消できない部分にのみ目を向けて無力感に陥るようでは本末転倒である。教育的観点からは、様々な研究者が指摘しているように、学習内容に対する認知や信念、態度といった比較的上層部の問題に目を向け、教師の具体的な介入と結び付けていくことが重要であろう※。
■ 問題発見
では、学習者が無力感に陥ることなく、効力感を持って学習意欲や行動を自分の力でコントロールできるような教育的働きかけは可能であろうか。
■ 論証
このことを考えていくために、私は教育心理学を学び、学習観や学習行動の認知を変えていく方法論を探りたい。具体的にはどんな感情が学習意欲を向上させ、前向きな行動変容につながるのか、反対にどのような感情が学習意欲を低下させ、行動変容を阻害するか、また、教師のどんな介入が前向きな行動変容を促すかについて定量調査を行い、分析・研究を進めたい。
■ 結論
こうした学習に関わる認知や行動についての研究は、従来の教科内容を中心に構成されたコンテンツベースの教育から、近年注目されている資質・能力を軸にしたコンピンテンシーベースのカリキュラムや授業の再編成にも大いに貢献すると考えられる。また、私自身も将来は教師を目指しているが、学校現場で子どもの学習意欲や達成感を高めたいと指導に悩む教師にとっても重要な示唆と行動変容を促すことにつながると考えている。
■ 結論の吟味
上記について理解を深めるために、貴学の廣瀬英子教授のゼミに入会し、教育心理学の基礎知識とともに定量的心理学調査の手法や評価の方法を学ぶことを強く希望する。
※廣瀬英子(2015) 学習観研究の展望:「学習の信念」と「学習を支える信念」による分類
上智大学心理学年報 Vol.39、21-30
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