■ 議論の整理
終身雇用や年功序列に裏付けられた日本型経営システムの崩壊が叫ばれて久しく、少子・高齢化、外国人人材の積極的登用等をめぐって、労働市場も大きく様変わりした。祖父母や親世代と子どもや孫の世代では就業に対する観念や態度も著しく多様化し、日本社会は転換点にありながら、これからの労働と社会のイメージを描けずにいる。そのような変化の著しい時代において、自分たちが今置かれている現状や事実を見つめることは重要でありながら困難なことである。私はそこにチャレンジする経済学、取りわけ計量経済学の理論と手法に関心がある。
■ 問題発見
現状の俯瞰が難しく、将来予測ができない社会においては、不安感が増大する。これらの不安要素、例えば親の学歴や職業と子どもの教育水準や就業状況には関連性があるのか、最終学歴と正規雇用への移行は関連性があるのか、家計の資産所得が就業にどのような影響を与えるのかといった問いも、信憑性のある情報や検証を経ていない段階では悪戯に不安感を増大させるだけである。また信憑性のない情報に基づく就労支援は効果のある支援とは言えず、費用対効果の悪い施策を生むだけである。
■ 論証
そこで、若年層の就業に影響を与えると想定される事柄について、ミクロデータを用いて定量的に明らかにする実証研究に取り組みたい。これらの事柄は単発よりも継続的に検証を行い、現状を把握し、その経過を見ていくことで将来予測も可能になると考える。
■ 結論
このような研究の積み重ねを通して、日本社会における雇用と労働についての現状を明らかにし、見通しのある理論を構築することに貢献していきたい。
■ 結論の吟味
上記の問題を労働経済学の立場から追求するにあたり、この分野で専門的・多角的に研究を積み重ねている出島敬久教授のゼミに入会し、理論と方法論はもちろんのこと、多角的に物事をとらえる研究姿勢に学ぶことを強く希望する。
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