■ 議論の整理
近年のメディア媒体の急速な変遷に伴い、新聞もデジタル化への対応が迫られている。全国紙に比べてデジタル化に乗り遅れた感のある地方紙も、生き残りをかけて紙版と有料電子版とのセット提供、記事以外のコンテンツの工夫などに乗り出している。
■ 問題発見
自治体によって差はあるものの、なぜ地方紙は概してデジタル化対応に遅れてしまったのか。理由は様々考えられるが、その中に、地方の新聞販売所の生き残りの問題があると考えられる。また、高齢化が特に深刻な地方社会において、情報が行き届きにくい人にこそ必要な情報を届けているという地方紙ならではのミッションや役割意識とそれに対する自負心によって、デジタル化への抵抗意識が生じてしまったことも考えられる。これらはメディア産業の採算性という直接的要因ではないが、地方紙のデジタル化への抵抗意識と、新聞産業の今後の動向を考えるうえで、見過ごしてはならない問題ではないだろうか。
■ 論証
時代の流れに押し流されて、次のビジョンを見いだせていない新聞メディアにおいて、特に地方紙がこの過渡期をどのように乗り切るのかということは、メディア産業全体の課題である。実際に、地方の新聞販売所は、その地域密着型の特性や新聞宅配網を生かし、地域包括支援センターとの連携で高齢者の見守り活動や、買い物、庭の手入れ、家の掃除などのお手伝いサービスに着手しているところもある。脱紙媒体の傾向に伴い、終活に向かう事業もあるが、地方の現状を踏まえた新たな活路にも注目していきたい。
■ 結論
上記の研究を通して、全国紙/地方紙という単純な二分法で括られてしまわない、地方の多様性や発信力の可能性を探ることに繋げていきたい。
■ 結論の吟味
上述の問題意識を追求していくにあたり、メディア政策やメディア産業論、情報社会論の専門家である貴学の音好宏教授のゼミに入会し、理論と現場の両面から学ぶことを強く希望する
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