■ 設問
問題①の文章も参考にしながら,貧困や階層の差について,具体例を挙げながら,600字から800字で論じなさい。
■ 答案構成
議論の整理→ 「硝子」の中のブルジョア女学生と貧困にあえぐ少年職工
問題発見→ 少年職工が感じた屈辱の原因とは?
論証→ 「互助の心」と「哀れみの心」の違いについて
解決策or結論→ 階層の差は視界不良をもたらす原因
解決策or結論の吟味→ 階層の差が固定化した格差社会
■ 答案
議論の整理→ 「硝子」の中のブルジョア女学生と貧困にあえぐ少年職工
川端康成の短編小説「硝子」の作中,酒瓶工場で働く少年職工が病で倒れ,大火傷をする。それを見た十五歳の女学生が彼を心配し見舞金を渡す。それから十年後,とある文芸雑誌で小説家となった職工がその当時のことを綴ったものを偶然見つける。そこには,当時貧困に喘ぐ生活や過酷な労働環境,自身の病や大火傷を負った事故への回想,そして女学生への恋心とブルジョア層の少女から受けた哀れみ,それに対する屈辱感が描かれている。そこで,この少年職工と女学生の心の動きから,貧困や階層の差について考えてみたい。
問題発見→ 少年職工が感じた屈辱の原因とは?
なぜ女学生は少年職工に見舞金を渡そうと思い立ったのか。また,少年職工は見舞金をもらった時,なぜ屈辱を感じたのか。
論証→ 「互助の心」と「哀れみの心」の違いについて
この問いを解く鍵が,「階層の差」である。少年職工は病身を押して過酷な労働に耐えねばならない貧困層に属する一方,女学生は裕福な富裕層に属している。女学生の目線でみれば,私心なく少年職工を助けてあげたいという想いから自分にできることは何かと自問し,見舞金を渡すことを思い立った。しかしそれは豊かで余裕のある生活をしているブルジョア層であるが故に思い立った選択肢であり,女学生はそれに気づいていない。一方,少年の目線でみれば,同じ社会的階層に属する人間からの見舞金ならば,それを互助の心と受け取り素直に感謝できたであろう。しかし,ブルジョア層からの見舞金はもはや互助の心ではなく,上から下への「哀れみの心」である。この上下の差,貧富の差を思い知らされたことが屈辱を感じた原因である。
解決策or結論→ 階層の差は視界不良をもたらす原因
すなわち,階層の差は社会に歪みをもたらし,貧困は周りを見る目を曇らせ,心に影を落とすのである。
解決策or結論の吟味→ 階層の差が固定化した格差社会
貧困や階層の差は,現社会においても「格差社会」という形で社会問題化している。格差社会への対応は,喫緊の課題である。
川端康成の短編小説「硝子」の作中,酒瓶工場で働く少年職工が病で倒れ,大火傷をする。それを見た十五歳の女学生が彼を心配し見舞金を渡す。それから十年後,とある文芸雑誌で小説家となった職工がその当時のことを綴ったものを偶然見つける。そこには,当時貧困に喘ぐ生活や過酷な労働環境,自身の病や大火傷を負った事故への回想,そして女学生への恋心とブルジョア層の少女から受けた哀れみ,それに対する屈辱感が描かれている。そこで,この少年職工と女学生の心の動きから,貧困や階層の差について考えてみたい。
なぜ女学生は少年職工に見舞金を渡そうと思い立ったのか。また,少年職工は見舞金をもらった時,なぜ屈辱を感じたのか。
この問いを解く鍵が,「階層の差」である。少年職工は病身を押して過酷な労働に耐えねばならない貧困層に属する一方,女学生は裕福な富裕層に属している。女学生の目線でみれば,私心なく少年職工を助けてあげたいという想いから自分にできることは何かと自問し,見舞金を渡すことを思い立った。しかしそれは豊かで余裕のある生活をしているブルジョア層であるが故に思い立った選択肢であり,女学生はそれに気づいていない。一方,少年の目線でみれば,同じ社会的階層に属する人間からの見舞金ならば,それを互助の心と受け取り素直に感謝できたであろう。しかし,ブルジョア層からの見舞金はもはや互助の心ではなく,上から下への「哀れみの心」である。この上下の差,貧富の差を思い知らされたことが屈辱を感じた原因である。
すなわち,階層の差は社会に歪みをもたらし,貧困は周りを見る目を曇らせ,心に影を落とすのである。
貧困や階層の差は,現社会においても「格差社会」という形で社会問題化している。格差社会への対応は,喫緊の課題である。(739字)
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