慶應SFC 総合政策学部 AO入試 志望理由書 提出例(鶴岡 路人研究会向け)

 議論の整理・・・近年、政治や外交、安全保障など様々な分野で、日本がヨーロッパに対して発信していくことの重要性が増している。というのも、日中対立の深まりや中国の台頭の中でヨーロッパにおける日本やアジアに対する理解が依然として低い水準にとどまってしまっているからである。日本からの中国への懸念に関する発信に対して、ヨーロッパからの信頼を得ることができれば、中国への牽制を強めることにつながる。

 この信頼関係を構築するにあたって、鶴岡(2015)※1は相手に対して「仲間」であることが重要であると述べている。日本のことを発信するとしても、ヨーロッパ情勢への関心と知識を前提とし、相手の関心に近づけて発信することが重要なのである

 実際、私は夏休みの間インドでボランティア活動をしていた際に、信頼の下での発信の有効性に気づかされた。私は教育系のボランティアに参加しており、教育に関するディスカッションを他国からの参加学生と行う機会もあった。しかし、私は自分の意見を主張するばかりで、いかに私が正しいのかをひたすら述べるだけであった。その結果、私の意見は受け入れられなくなり、孤立していってしまった。そこで私は自分の主張の正当性を強めるために他の参加学生の出身国の政治的・文化的背景を調べたのだが、それにより相手の立場に立った議論ができるようになり、次第に信頼関係が出来上がっていき、自分の発信を相手にしっかりと受け入れてもらえるようになった。

問題の発見・・・国際間においても相手を尊重した発信が有効であり、政治的な意味での国と国の信頼関係には国民同士の信頼関係も重要であると私は考える。

 

 論証・・・政治においては利害関係に焦点があてられることが多いが、政治を担うのは人間であり、その意思は国民の意思を反映したものになるからである。鶴岡(2015)1は日本・アジア専門家の枠を超えて発信の対象を広げていくことが重要であり、中国の台頭のなかで情報発信源としての日本への関心は高まっているものの、発信が積極的に行われていないことが大きな課題であると述べている。

 

 結論・・・そこで私は、ヨーロッパ相手の対外発信における問題を従来のマクロ的視点ではなく、ミクロの視点で研究していきたいと考える。具体的には、日本からの発信がどのような手法で行われ、相手国の国民どのように受け取られているのかを探り、そこから信頼構築のための課題を抽出していく。そこから日本の対外発信の有効性を高め、日欧関係を強化していくための戦略を模索していきたい。

 

 結論の吟味・・・そのために、社会課題の解決に必要なテーマを講義で取り扱い、かつ国際的で多様な文化、価値観に触れることができるSFCは最適な環境であり、鶴岡路人准教授の研究会に所属し、欧州政治やEUに関する最新の話題に対しての洞察を深めていきたい。また、桑原武夫教授のもとで、マーケティングや消費者行動を学ぶことで、対外発信による相手への効果と有効性への気づきを得たいと思う。したがって、SFCは私の研究に最適な環境であり、志望する。

 

1鶴岡路人(2015)「ヨーロッパへどのように発信するかーパブリックディプロマシーの方策と課題―」EUSI Commentary vol.62

 

 

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