慶應SFC 総合政策学部 AO入試 志望理由書 提出例(小澤太郎研究会向け)

 議論の整理・・・ 

 公共選択論とは,主として経済学における学問分野の一領域で,民主制や官僚制の下における政治過程を,ミクロ経済学的なアプローチで解く学問であり,政治学と経済学の橋渡し的な分野である(*1)。特に,政治家や官僚を自分の利益のために戦略的に行動するプレーヤーと捉え,彼らの社会・政治システム下での戦略的依存関係を分析する学問分野である。ジェームズ・ブキャナンらから成るシカゴ=ヴァージニア学派を中心に,1960年代に生まれた。1680年代後半からは非協力ゲーム理論の新しい分析手法が取り入れられたことによりめざましい学術的成果を生み,現実の政策形成に一定の説明力を発揮した。こうした背景から,今日ではこうした一連の研究が「新政治経済学」などと呼ばれることも多い。さらに計量経済学を用いた実証研究を含める場合は,政治経済学と呼ばれている。

 

 問題発見・・・ 

 では,公共選択論により21世紀の経済を分析することは可能だろうか。

 

 論証・・・ 

 これからの公共選択論の発展を考えた時,新しい社会科学にも注意を振り向けねばならないだろう。伝統的な新古典派経済学は,その理論的完成度の高さにもかかわらず,現実の経済の流れや多様な経済制度の存在を十分説明しきれていない(*1)。要するに,現実の経済は素朴な予定調和観では割り切れないほど複雑かつ多様なのである。例えば,電子商取引で生じる資源配分・所得分配の分析を行うにあたって,ゲーム理論や情報の経済学に基礎付けられた産業組織論の成果は極めて有用である。なぜならば,IT化の発展は,各人,各組織の私的利益の追求をより徹底させ,その結果,伝統的な「希少資源の配分」問題を先鋭化させるからであり,さらにそこから生じる戦略的行動の分析の為に,ゲーム理論の知見が不可欠となるからである。21世紀になったからと言って,特別何かがかわった訳ではない。我々は相変わらず私的利益の追求者からなる社会に生きており,その中で公共選択論は,民主的なプロセスを経て集計される社会的選好を同定し,この社会的選好に照らし合わせて社会の現状を評価し,必要とあらば社会制度の変革を提案することも可能なのである(*1)

 

 結論・・・ 

 そこで,これからの経済政策を安全保障の観点から研究したいと考えている。

 

 結論の吟味・・・ 

 この研究を進めるにあたり最適な環境を求めて,貴学SFCに入学し,公共選択論やゲーム理論を専門に研究している小澤太郎教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

 

(*1) 小澤太郎.“21世紀における公共選択論のあり方に関する一私見”, 公共選択の研究, Vol.36, pp.1-4, 2001

 

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