慶應SFC 総合政策学部 AO入試 志望理由書 提出例(上山信一研究会向け)

 議論の整理・・・
 近年わが国における行政改革の一手段として,ニューパブリックマネジメント(NPM)の導入が進んでいる。NPMとは,民間企業の経営管理手法を行政のマネジメントに導入し,競争原理を働かせて効率化や質の向上を図るという,欧米発祥の公共管理論である。これは,行政の常識を打ち破るものといえる。なぜなら,企業戦略とは競争に勝つために新しい奇策妙策を繰り出すことであり,企業によるイノベーションは反常識の延長線上にある。議会の多数決で決定された政策や法令を根拠に,ルールに従って他と同じことをこなすのが常識とされる行政とは対極に位置する。つまり民間企業と行政の運営原理は水と油ほどに違う。民間企業から見て非常識としか思えない行政府の行動様式も「行政の常識」に合致するものであり,「民間企業に学べ」という言説ほど簡単ではない。だが,それでもなお今日の行政が直面する行き詰りを打破するものとして,NPMに期待が集まる。

 

 問題発見・・・
 しかし,欧米生まれのNPMがわが国の行政運営に定着するまでには,克服すべき数々の障害がある。

 

 論証・・・
 成果志向や顧客志向,権限委譲や競争原理など,理念としてのNPMはかなり普及した。しかし,行政運営の実態がそれにあわせて変わったとは言い難い。それはNPMがマクロ的抽象論にとどまり,ミクロ的具体論にまで落ちていないためである。まず,成果志向や顧客志向とは具体的に何をどうするのかが個々人に見えていない。NPM改革は個人の行動様式にまで浸透して初めて組織横断的に貫徹できるものである。組織・制度改革よりも個人レベルでの行動様式の見直しが先決である。まずは現実に目の前にある課題を解決してみるところから本質的な課題が見えてくる。それをひとつずつ解決していっても,それでもなお課題が解けない場合にはじめて,組織や制度の見直しに着手する。本来,組織や制度はこのプロセスに従って変えていくのが望ましいとされる。NPM改革を制度改革と同一視してはならない。NPMの本質はあくまでも経営改革である(*1)

 

 結論・・・
 そこで,元通産官僚にして著名コンサルタント企業出身で,公共行政学を専門に研究している貴学総合政策学部の上山信一教授に師事し,地方行政におけるNPMの導入・定着を促進する行政コンサルティングについて実践的に研究したいと考える。

 

 結論の吟味・・・
 したがって,NPM導入による行政改革研究に最適な環境を求めて,貴学SFCに入学し,上山信一研究会に入会することを強く希望する。

 

(*1) 上山信一.ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とわが国の行政改革 -行政学のバージョンアップに向けて,年報行政研究,Vol.2004, No.39, pp.70-86, 2004

 

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