■ 議論の整理・・・
子どもの精神発達は,親との関わりや体験から始まる。特に乳幼児期の生後三年間は,子どもの精神発達において非常に重要な時期である。この時期は,体をたくさん動かして,いろんなモノに触れさせることが脳の発達につながる。親は,子どもを汚いモノや危険なモノから遠ざけたがるが,本当に危険なモノ以外は,何でもかんでも危ないと取り上げてしまうことは,子どもの生きる力や発達を阻害することになるので注意したい。土,石,水,葉っぱや虫,動物などに手で触れる,耳で色々な音を聞く,色々な匂いを嗅ぐ,味わうなど五感への刺激も脳を発達させる重要な要素だからである。また,健全な精神発達に重要な自己肯定感の基礎は,この頃の環境から生まれると言われている。何か自分がしたことに対して親が関心を向けて褒めたり喜んだりしてくれると,自己に関するポジティブな情報が蓄積されていき,何をしても怒られたり無視されれば,ネガティブな情報が蓄積される。つまり子どもの中にポジティブな情報を蓄積することは,自己肯定感の高い人間になる基礎が芽生えることになり,それが成長する段階における意欲,生きる力となっていくのである。
■ 問題発見・・・
では,日本は先進諸国に比べて子どもの自己肯定感が低いとされるのはなぜか。
■ 論証・・・
それは,親を対象にした内閣府の調査の結果を見ても,「自己肯定感が子どもに与える影響を知っている」という親は約30%,子どもの自己肯定感に対して「意欲的に行っていることがある」という親は50%以下に留まっていることから,親の自己肯定感に対する認識や理解が低いことが原因だと考えられる。また,実際に「自己肯定感」という言葉を知っていても,子どもにどんな影響があるのか,どう育んでいったらいいのかわからないという親も多いのが現状である。
■ 結論・・・
そこで,私はより実践的な方法で,子ども達の自己肯定感を高めるための親の意識改革法を提案していきたいと考えている。
■ 結論の吟味・・・
SFCでは,実践的で能動的なプロジェクトへの参加を主体としたカリキュラムを実践しており,私の研究に最適な環境が整っている。また,貴学環境情報学部の濱田庸子教授は,乳幼児精神医学や精神分析の専門家として,パーソナリティー発達論などの研究をしていることを知り,私は貴学SFCに入学し,濱田庸子研究会に入会することを強く希望する。
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