■ 議論の整理・・・
近年、医療の分野にもITを活用する試みが盛んである。生活習慣病の増加により、日常生活の習慣に注目が集まっている。発症前や治療後の日常生活の情報を収集し分析することで、疾患の予防や進行を抑制すること目指す重要性が高まっている。従来、医療現場におけるデータは個人情報保護の観点から十分に活用できていなかった。しかし、匿名化や情報漏洩防止技術が向上し、IoTやビッグデータを駆使することで、分散していたデータの集約が可能になってきた。この膨大なデータを利用することで、疾患の予防や予後改善が望める。※1※2貴学の論文でヘルスケアとITのかけ合わせて、より良い医療・看護を目指す研究をされている。※1論文では老年介護においてITを利用した情報流通を提言している。また※2論文では在宅ケアにおいて、プライバシーとプライオリティと考慮したITの導入を研究されている。
■ 問題発見・・・
では、人々の健康状態のデータが集約化され、ビックデータで管理されることにデメリットはないのであろうか。
■ 論証・・・
確かに医療にITを組み合わされば、疾病の予防と治療増進に寄与することは間違いないであろう。しかし、発症を予測できても治療法がまだ確立されていないケースでは、必ずしも予測することに意味があるとは言えない。場合によっては知らなければ、不安や恐怖を抱くことなく生活できていたのに、発症が予測され治療法がないと言われ、人生に絶望してしまうことも予想される。それゆえ、早期発見によって治療予後が改善される疾患を中心に発症予測等はなされるべきである。すでに治療法が確立されており、発見が早ければ早いほど予後がいい場合は、積極的にITを用い予測を進めていく意味がある。
■ 結論・・・
以上より、やみくもにITの活用を推し進めるのではなく、倫理的・心理的なデメリットを考慮して、適応があるケースを中心に対象とするべきであると考える。
■ 結論の吟味・・・
宮川 祥子教授に師事することで、ヘルスケアとITのかけ合わせについて多角的に学び研究できると考え、慶應義塾看護医療学部への入学を志望している。
※1宮川祥子.(2003)「老年看護におけるITを利用した情報流通の可能性と課題」 老年看護学, Vol.7 No.2,
※2宮川祥子, 山崎重一郎, 内山映子.(2005)「在宅ケアにおけるプライバシーとプライオリティを考慮した情報配信フレームワークの設計」, コンピュータセキュリティシンポジウム
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