■ 議論の整理・・・
近年、日本において急速に高齢化が進んでおり、推計では2060年まで進行し続け、死亡者数は2040年には年間約170万人に到達すると言われている。従来、自宅で最期を迎える人が多かったが、医療の高度化した影響で病院などの医療機関で最期を迎える人が増加傾向にある。一方で、余命が残り少なくなった時、家族とともに自宅で過ごしたいと考える人は多いと言われている。これに伴い、在宅医療や介護を希望する人は増加傾向にある。病院で完結される医療から地域全体で支える医療の形にシフトしてきている。※1※2貴学の論文では看護の視点から、終末期ケアを研究されている。論文※1ではがんの終末期の患者に対して、病棟でどのようなケアができるかを研究されている。また論文※2では外来通院しているがん患者の終末期ケアについて研究されている。
■ 問題発見・・・
このような高齢社会の中で、どのような終末期ケアが必要でしょうか。
■ 論証・・・
エリザベス・キューブラー=ロスによれば、死の受容過程は「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」という5段階のプロセスをたどると言う。これを終末期医療に当てはめて考えると、まずは医師に宣告された余命を信じられず否認する。次に、頻度の低い疾患になぜ自分が罹患してしまうのかという怒りがわく。そして、必ず訪れる死への抵抗が現れ、次に抑うつ状態となり、最期に受容に至る。もちろん全ての人がこのような過程をたどる訳ではないが、一つの型として理解したうえで、一人一人に合わせて患者の心の整理を手助けすることが重要である。疼痛などの肉体的苦痛をできるだけ取り除き、コミュニケーションを密にとることで不安を軽減し、患者が臨む最後を迎えられるように寄り添い支援することが必要である。
■ 結論・・・
以上のように、終末ケアにおいては死の受容過程を理解した上で、肉体的にも精神的にもケアを提供し、患者の希望にできるだけ沿った終末期を迎える手助けをすることが重要である。
■ 結論の吟味・・・
門脇 緑先生に師事することで、実際の臨床現場での終末期ケアを学び研究できると考え、慶應義塾看護医療学部への入学を志望している。
※1門脇 緑.がん患者と終末期の過ごし方を考えるための病棟看護師の支援の構造化,2015. 第35回日本看護科学学会学術交流会講演集,p480,広島.
※2門脇 緑.外来通院中のがん患者とのEnd-of-life Discussionsにおける看護と看護師の個人的要因・組織/環境的要因との関連.2018.聖路加国際大学博士論文.
コメントを残す