慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(塩原 良和研究会向け)

■議論の整理

「国際社会学」とは、モダニティ研究、移民研究、世界都市研究、グローバリゼーション・世界システム研究、ナショナリズム・エスニシティ研究などの影響を受けながら日本の社会学において独自の展開を遂げてきた領域である。

国際社会学における鍵概念のひとつである「多文化主義」については、「相対化」されるべき「国民統合」をあらかじめ立ち上げてしまう方法論的ナショナリズムに囚われていることから生じる、国際社会学における理論的・実践的限界が存在する。

例えば、管理の論理としての公定多文化主義には、ふたつの側面がある。第一に、管理にもとづく 多様性の「選別」と活用の試みである。しかし、グローバル資本主義の拡大・進化に親和的な多文化主義は、かつての移民労働者の権利や福祉の保障を主眼においたものから、国家・企業の経済的利益に資するかどうかで移民を厳しく選別し、前者を歓待し後者を排除する「経済多文化主義」へと変容していく。第二に、多文化主義の名の下にマイノリティ選別・活用が行われるということは、管理不可能であり、それゆえ活用することもできない「望ましくない」マイノリティを政府が「排除」することを多文化主義が黙認するということでもある(*1)。

 

■問題発見

ここで、「多文化主義」が「国民統合」や「経済多文化主義」を求めることについての課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

オーストラリアにおける公定多文化主義が移民向け支援・福祉 政策として制度化されたことは、「管理」の論理としての多文化主義の技術的な洗練を意味していたということができる。このように公定多文化主義がナショナリズムに基づく管理の論理としての側面を強くもっていたことが、先住民族運動が公定多文化主義に対して冷淡であったことの大きな理由でもある。

多文化主義を主張するマイノリティは国民社会への公正な参加を目指している。しかしここで問題となるのは、その場合マイノリティの人々は、マジョリティ国民中心に統合された既存の国民社会への参加を目指していることである。

マイノリティによる承認と参加の主張として始まったはずの多文化主義は、主流国 民中心の国民統合の維持のために多様性を管理し、マイノリティの選別・排除を黙認する論理 へと転化していく。多文化主義が国民の分裂をもたらすというリベラル・マルチカルチュラリズム的な認識に基づき、その処方箋として差異の尊重と統合の維持の「バランス」論を提示してきた国際社会学的な多文化主義論は、現代国民国家において多文化主義が実際には統合の論 理として遂行されているがゆえに、マイノリティの管理・選別・排除という問題と共犯関係にあるという問題性をとらえることができずにいる。

なお、日本における近年の「多文化共生」もまた、少子・ 高齢化にともなう労働力不足に対応するための移民・外国人受け入れ論議の本格化にともなって、移民・外国人住民への「生活支援」の充実の必要性として主張されてきた側面が大きい。

したがって、まずは「多文化主義」に内在する問題点を認識し、そのうえで「国民統合」を強制しない真のマイノリティを受け入れる「多文化共生」について論じるべきである。 (*1)。

 

■結論

そこで、マイノリティの管理・選別・排除という問題を取り除く視点から地域の多様性に対するフレームワークを考案し、現在の社会に求められる「多文化共生」の役割について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し,社会学、国際社会学やオーストラリア研究を専門に研究している塩原良和教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1塩原良和(2010)「『国際社会学』を問い直す : 多文化主義研究からの試論」三田社会学 (Mita journal of sociology). No.15 (2010. 7) ,p.71- 82

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