慶應義塾大学 法学部政治学科 FIT入試 志望理由書 提出例(粕谷 祐子研究会向け)

■議論の整理論

民主化後フィリピンにおける政党制が、既存理論が妥当する条件を備えていながら理論的予測からはずれている状況が存在している。既存理論では、以下の四条件のもとで、議会レベルでの二大政党制が予測される。その条件とは、第一に、大統領に大きな権限が与えられている、第二に、大統領選挙は単純多数制を採用する、第三に、臼大統領選挙と議会選挙が同時に行われる、第四に、議会選挙は小選挙区制を採用するという条件である。

フィリピンでは、1946年の独立以来戒厳令が敷かれる1972年までの期間は、理論的予測どおり二大政党制であった。しかし、1986年の民主化以後、これら四条件はほとんど変化していないにもかかわらず多党化が進んだ。

このような状況に対し、次の三点を考慮に入れると、フィリピンの事例を整合的に説明できる。第一に、大統領候補者数は二人となるという前提ではなく、変数として扱うべきである。第二に、当選見込みのある大統領候補は、議会選挙候補にとって加盟するに好ましい政党の選択肢を提供する形で議会選挙での政党制に影響する。第三に、大統領選挙の混戦化は、選挙区レベルでの多党化ではなく、選挙区間における政党制構成の多様化に影響する形で多党化につながる(*1)。

 

■問題発見

ここで,フィリピンの政党制に関する大統領制に関して、選挙区間の政党制構成の多様化に対する課題について改めて考えてみたい。

 

■論証

大統領選挙、議会レベル選挙の両方で小選挙区制が使用される場合には、デユベルジエの法艇により、両レベルで二つの政党が競合することが予測される。すなわち、大統領が大きい権限をもつこと、及び、大統領・議会選挙の同一のタイミングは、大統領候補と議会選挙レベルの政治家 が同じ政党ラベルの下で集結することを促進し、これが翻って議会選挙での大政党制化を促す効果をもつ。そして、理論的には 二大政党が予測される小 選挙区での選挙結果において多党制となっているのがフィリピンの事例である。

フィリピンの政党制を分析することで、フィリピン一国の政党政治理解を深めるだけでなく、大統領制研究における一般理論構築にとって重要である。それは、大統領選挙の混戦化は、議会選挙区レベルの政党競合のありかたではなく、選挙区間の政党制構成の多様化に影響する。だが実際には民主化後の時期では大統領選挙年 においても二大政党制が成立しておらず、 フィリピンの事例は理論的予測を裏切る形になっている。

これまでの大統領制研究では、議会 選挙の全国レベルでの政党制が従属変数として使用されてきたことから、大統領選挙の影響が、各選挙区内でみられるのか、あるいは、選挙区間での政党制構成の多様性のレベルでみられるのか、という区別が暖昧にされてきた。フィリピンの事例は、後者のレベルでの影響が重要であることを指摘するものである。したがって、この点が一般的にみられるかどうかについて、今後、多国間データを用いて検証する必要がある(*1)。

 

■結論

そこで,フィリピン以外の諸外国及びフィリピンの政党制の分析を通じ、選挙区間での政党制構成の多様性が大統領制に与える影響について研究したいと考えている。

 

■結論の吟味

上述の研究を遂行するため,貴学法学部政治学科に入学し,途上国比較政治やフィリピン政治、政治制度論を専門に研究している粕谷祐子教授の研究会に入会することを強く希望する。

 

※1粕谷祐子(2008)「フィリピンの大統領制と政党システム」慶應の政治学 地域研究 : 慶應義塾創立一五〇年記念法学部論文集 (2008. ) ,p.53- 76

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